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2026/2/2:決算書の診方(4):キャッシュフロー計算書を診ることは「脈診」するのと同じ
2026/1/29:決算書の診方(3):銀行の着眼点をおさえよ
2026/1/26:決算書の診方(2):貸借対照表(BS)の「左側」からあぶり出す資金繰りの実力
2026/1/25:決算書の診方(1):貸借対照表(BS)の「右側」にまず着眼せよ!
2026/1/19:飲食店の人手不足を逆手に取る!戦略的「セルフ化」×「体験価値化」
2026/1/16:経営者が行うべき非課税制度を活用した「守り」×「攻め」のプライベート投資戦略
2026/1/11:全ての経営者必見!キャッシュを生み出す源泉とは?
2026/1/8:資産運用も店舗経営もキャッシュが命!
2026/1/7:美容室の倒産が過去最多!手数料貧乏と労働の限界を突破する逆転戦略とは?
2026/1/6:飲み会幹事は資金繰りマスター?Amazonと同じ「CCCマイナス」の仕組みを店舗経営に活かす
2026/1/4:「もらえるものは貰う」は危険?補助金活用の落とし穴
2026/1/3:イマーシブ・フォート東京営業終了に学ぶ、固定費の罠
2026/1/1:多店舗展開の壁 ―成長の「壁」を突破する財務戦略とは?
2025/12/31:「安かろう悪かろう」は必ず立ち行かなくなる―店舗数激減のさくら水産に学ぶ価格競争の末路
2025/12/30:借金は早く返すな ―会社も家計も繰り上げ返済すべきでない理由
2025/12/29:おいしくて売れているサイゼリヤから多くを学ぼう(2)
2025/12/27:「節税」で陥る負のサイクル ―役員報酬4千万円の裏側
2025/12/26:コンビニ「プライチ」に隠された資金繰りのカラクリとは?
2025/12/24:本業以上に「投資」で稼ぐコーエーテクモから学ぶ―1200億円を投資する襟川恵子会長とは?
2025/12/23:飲食店の最新倒産動向―日本料理店の倒産が53%増の衝撃!
2025/12/21:「値上げ=悪」ではない、店舗ビジネス(BtoC)の価格転嫁法
2025/12/19:飲食店の資金繰りを改善する10の打ち手―過去最多の飲食店倒産から身を守る
2025/12/18:おいしくて売れているサイゼリヤから多くを学ぼう
2025/12/16:早期退職から1年ー私が「サイドFIRE」できた理由とお金で大切なこと
2025/12/15:ご飯が致命的にマズい…ある日のランチと「東京チカラめし」から学ぶ教訓
2025/12/14:キャッシュレス貧乏になっていませんか?—飲食店を苦しめる「手数料」の正体
2025/12/13:なぜ脱毛サロンは次々と潰れたのか?—「前受金」にひそむ罠
2025/12/11:過去最高益でも会社は潰れる?アーバンコーポに学ぶ黒字倒産

2026.2.2
決算書の診方(4):キャッシュフロー計算書を診ることは「脈診」と同じ

  • 直近のブログでは、決算書の診方としてB/S(貸借対照表)に着目してきました。 P/L(損益計算書)は、一会計期間のフロー(利益をどれだけ生み出しているか)を表していますが、B/S(貸借対照表)は、そのフローの蓄積であるストックを表しています。

    そのため、企業の慢性的な状態を診るには、B/S(貸借対照表)に診るが欠かせないのです。

    ただ、P/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表)以外にも大事な決算資料が存在します。
    それは、キャッシュフロー計算書(C/S)です。ちなみに、この3つを「財務三表」と呼びます。

    C/Sを診れば、企業の健康状態が3つの視点で浮き彫りになります。キャッシュとは「血液」、キャッシュフローとは「血流」です。C/Sを読み解くことは、経営の「脈診」を行うのと似ています。

    私は韓国の歴史ドラマが大好きでよく見るのですが、『宮廷女官チャングムの誓い』を始めとした宮中を舞台としたドラマでは、王医・医女が「脈診」を通じて王族の健康状態を診るシーンがよく登場します(例えば、正室・側室の懐妊は脈診により明らかするシーン)。東洋医学において脈を診ることは、言葉を発しない体内の異変を察知し、病の根源を突き止める極めて重要な医学行為です。

    経営も同じです。帳簿上の数字(P/L)がどれほど立派でも、この「脈」を診れば、その会社が「攻め」のフェーズにあるのか、あるいは「止血」が必要な末期状態なのかが、まざまざと判明するのです。

    ▼3つのキャッシュフロー(CF)が示す「お金の性格」

    C/Sは、お金の出入りを以下の3つの区分で診ます。

    • ●営業CF(営業収支):本業でいくら現金を稼いだか。ここがマイナスの企業は、本業でお金が減っている、非常に苦しい状態です。なお、営業CFの計算はなかなか複雑なため、概算値として「簡易CF(=経常利益+減価償却費-法人税等)」を用いることも多いです。
    • ●投資CF(設備収支):将来のためにいくら投資したか(基本はマイナス)。あるいは、資産を売却して現金を得たか。
    • ●財務CF(財務収支):銀行からいくら借り、いくら返したか。あるいは、株主へ配当を払ったか。

    この3つの「プラス(+)・マイナス(-)」の組み合わせでキャッシュフローの健康診断が可能です。具体的には8タイプ存在しますが、一例を挙げると以下のとおりです。

    • 拡大志向タイプ(営業+、投資-、財務+)
      本業で稼いだお金に加えて、銀行から融資を受け、積極的に新店オープンなどの投資を行っている状態です。多店舗展開を急ぐ成長期の飲食店によく見られます。
    • 安定企業タイプ(営業+、投資-、財務-)
      本業でしっかり稼ぎ、その範囲内で設備投資を行い、さらに借金の返済も進めている。非常に健全で、目指すべき理想的な姿です。
    • 銀行依存タイプ(営業-、投資-、財務+)
      本業が赤字(営業CFがマイナス)なのに、さらに設備投資を続け、その穴埋めをすべて借金で賄っている。店舗を増やせば黒字になると信じて突っ走っている、危ういフェーズです。 

    ▼任天堂とコーエーテクモの場合

    さて、私が株を保有する超優良企業(任天堂、コーエーテクモHD)の2社を分析してみましょう。2社とも、営業+、投資+、財務-となります。

    2社とも、キャッシュリッチ企業で、資産運用から多額の利息や分配金を得ています。投資のために出したお金より、運用で戻ってきたお金が大きいため、投資CFがプラスとなっています。通常、投資CFが「+」になるのは、建物や土地などの「資産を売却」したときです。資産売却して借入しているリストラな状態を診るのが一般的ですが、この2社の場合、全く正反対の、強者の健康状態と言えます。

    まさに、「本業の稼ぎ」と「投資の果実」の両輪でキャッシュを増やしている金持ち企業と言えます。

    ▼まとめ:キャッシュフローは嘘をつかない

    店舗経営において、まずは営業CF(+)を月商の3ヶ月分程度キープすることが、精神衛生を保つための最強の薬になります 。

    もし今、あなたの店が営業CFがマイナスに陥っているなら、それは「勘定合って銭足らず」どころか、事業モデルそのものに欠陥があるサインかもしれません 。

    「利益は出ているのに、なぜかお金が残らない」
    「自分の店が8パターンのどこにいるのか知りたい」

    そう思われた方は、ぜひ一度ご相談ください(初回相談60分無料)。あなたの会社の「血流(キャッシュフロー)」を診断し、パターンに応じた打ち手・方向性を一緒に検討していきます。

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2026.1.29

決算書の診方(3):銀行の着眼点をおさえよ

  • 直近のブログでは、決算書(B/S)の診方について以下のとおり解説してきました。

    • ●前回:B/S(貸借対照表)の「左側(資産)」に着目し、現金の目詰まりや資金繰りの実力を診る
    • ●前々回:B/Sの「右側(負債・資産)」に着目し、自己資本比率という「安全性(守り)」の指標と、ROE:「収益性(攻め・効率)」の指標でバランス経営度合を診る

    続編となる今回は、融資の判断をする銀行員が決算書を見る際に最も着目している「返済能力」の視点について解説します。

    「うちは1億円も借金があるから、もうこれ以上は無理だ」
    「借金が1,000万円しかないから、うちは健全だ」

    経営者の方はそう思いがちですが、実は銀行員は「金額」そのものにはあまり興味がありません。彼らが診ているのは、売上や利益に対する「バランス」です。そのバランスを診るための最強のモノサシが以下の2つの指標です。

    1.借入月商倍率:身の丈に合った借金か?

    1つ目は、借金の総額が月商の何ヶ月分に相当するかを診る「借入月商倍率(=借入金総額÷平均月商)」です。

    <判断基準>

    • ●3ヶ月以内:健全○(銀行から「もっと借りませんか?」と営業が来るレベル)
    • ●3~6ヶ月以内:許容範囲△(一般的なライン)
    • ●6ヶ月超:警戒レベル×(返済額が利益を圧迫し、手元に現金が残りにくくなる負のループに近い)

    売上が1,000万円あっても借金が8,000万円(8ヶ月分)あれば重すぎますし、売上が100万円でも借金が200万円(2ヶ月分)なら余裕がある。銀行はまずこの指標で「身の丈を超えていないか?」を瞬時に判断しています。

    2.債務償還年数:返済に何年かかるか?

    2つ目は、銀行が格付けにおいて最も重視する最重要指標「債務償還年数(=借入金総額 ÷簡易キャッシュフロー」です。これは、「今ある借金を本業で稼いだキャッシュ(簡易キャッシュフロー=営業利益+減価償却費)だけで返すのに何年かかるか」という返済の馬力を測るものです。また、その企業の返済能力、借入が過剰に膨らんで資金繰りを圧迫していないかを診ることが出来ます。

    <判断基準>

    • ●10年以内:合格(銀行が「優良企業」として扱う基準)
    • ●15年超:警戒(新規の融資が非常に通りにくくなるライン)

    どんなに豪華な内装で売上が立っていても、この年数が20年を超えていれば、銀行は「この商売は返済のために存続しているだけだ」と冷酷に判断します。逆に、利益をしっかり出し、減価償却を味方につけてこの年数を短縮できれば、次の出店や投資のチャンスはいつでも手に入ります。

    ▼無借金王・任天堂の凄み

    任天堂の最新の有価証券報告書(2025年3月期)を診ると異次元レベルになっています。

    貸借対照表を診ると、驚くべきことに銀行などからの「短期借入金」や「長期借入金」、そして「社債」といった有利子負債が一切計上されていません。負債合計は約6,730億円ありますが、その中身は支払手形や買掛金といった事業上の負債のみ。
    つまり、前述の「借入月商倍率」「債務償還年数」を計算しようとしても、返す必要のある借金がゼロのため、結果は「0」。

    自己資本比率も約77.5%と鉄壁。1.6兆円もの現預金を抱え、利息を払うべき借金がゼロ。この圧倒的なバランスがあるからこそ、彼らは何千億という巨額投資を、銀行の顔色を一切伺うことなく、自分たちのタイミングで行えます。

    もちろん、レバレッジを活用する店舗経営において「無借金」が常に正解とは限りませんが、彼らのような、いつでも返せる圧倒的なキャッシュを持ち、銀行の顔色を一切伺わずに投資判断ができるというのは、強者のポジションであり、経営の自由度を最大化させます。

    ▼まとめ

    「決算書の診方」シリーズとして、3回にわたってB/Sの右側、左側、そして銀行目線による診方を解説してきました。

    • ●右側:自己資本比率とROEを高め、守りと攻めのバランス経営を意識する
    • ●左側:安全性指標(流動比率・当座比率)、現預金月商比率を高め、資金繰り力を高める
    • ●銀行目線:借入月商倍率を6ヶ月以内、債務償還年数を10年以内に抑え、銀行を味方につける

    この3つが揃ったとき、あなたの店は「強い財務基盤を持つ企業」へと進化します。
    「銀行から見た自分の評価を正しく知りたい」
    そう思われた方は、ぜひ一度ご相談ください(初回相談60分無料です)。決算書という「通信簿」を改善し、あなたが本来やりたかった「理想の経営」に集中できる土台を、一緒に作り上げましょう。

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2026.1.26

決算書の診方(2):貸借対照表(BS)の「左側」からあぶり出す資金繰りの実力

  • 前回のブログでは、B/S(貸借対照表)、そして、その「右側(負債・純資産)」に着目し、自己資本比率とROEのバランス、つまり、安全性(守り)と収益性(攻め・効率)のバランス経営が重要だというお話をしました。

    では、B/Sの左側(資産)はどう診ていけばいいのでしょうか?
    今回のブログは、「決算書の診方(2)」として、左側(資産)の診方についてご紹介していきます。


    ▼前年度比較でキャッシュの目詰まりを見抜く

    まず診るべきは、「現金・預金」「売掛金」「商品(在庫)」の3項目を前年度の数字と比べることです。

    • ●商品(在庫):前年度より増えていたら、「お金が商品に化けたが、売れずに止まっている(不良在庫化)」可能性があります。例えば飲食店で、仕込みを増やしすぎた結果、冷蔵庫はパンパン、通帳はスカスカ。
    • ●売掛金:前年度より増えていたら、「お金が商品に化けて売れたが、未入金分(ツケ)が増えている」状態。回収が滞れば資金繰りを圧迫します。例えば飲食店で、売上は伸びているのに、売掛金が膨らみ通帳残高が減っていく(売れれば売れるほど資金繰りが厳しくなる)現象。

    これらは会計上「資産」ですが、増えすぎるとその分現金を減らす性格(キャッシュの固定化)があることを忘れてはいけません。

    ▼左と右の対比で安全性を診る(流動比率・当座比率)

    1つ目のポイントが「過去との比較」なら、2つ目のポイントは、左側(資産)の数字を「右側(負債)との対比」で診ることです。これが、あなたの店が「明日、倒産するかどうか」を測るバロメーターになります。

    • ●流動比率(流動資産÷流動負債):1年以内に入ってくる予定のお金で、1年以内に払うべき借金を返せるか。120%〜150%以上あれば合格点です。
    • ●当座比率(当座資産÷流動負債):飲食店経営者にはこちらをさらに重視してほしい。在庫(いつ売れるか、あるいは腐ってしまうかもしれないもの)を除き、今ある「現預金と売掛金」だけで、即座に支払いに充てられる力を診ます。100%以上が理想です。

    ▼「現預金月商比率」で経営のゆとりを診る

    次に診るべきは、あなたの店が「どれだけ息継ぎなしで泳げるか」を示す「現預金月商比率」です。
    これは、手元にある現預金が、月商の何ヶ月分に相当するかを示す指標です。

    • 目標:月商の3ヶ月分以上危険:月商の1ヶ月分以下

    例えば、月商500万円の店なら、常に1,500万円のキャッシュを口座に置いておくのが理想です。銀行は「晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」存在です。売上が落ち込んでから融資を申し込んでも、審査は通りません。余裕があるうちに借りてでも現預金を積んでおく—この「ゆとり」こそが、経営者の精神衛生を保つ最強の薬になります。

    ▼投資家としての独り言

    任天堂の左側は、総資産の多くが「現預金」や「有価証券」で構成されており、いつでも攻めの投資に転換できる「究極の流動性」を持っています。また、1.7兆円もの現預金があり、想像を超えるキャッシュリッチぶりです。

    最近の任天堂の株価は下落気味ですが、私は「ひーひー」言いながら買い増しをしています。私の心が揺るがないのは、この「左側に詰まった本物の現金」という圧倒的な「事実」があり、前回のブログで述べた自己資本比率・ROEのバランス経営ができているからです。

    ▼まとめ

    「利益は出ているのになぜかお金が残らない」
    「在庫やツケばかりが増えて、通帳が寂しい」
    もしそう感じているなら、それはあなたのB/Sの左側が、お金に変わらない「死んだ資産」で肥大化しているサインかもしれません。

    B/Sの「右側」で賢く調達したお金を、「左側」でいかに「死に金」にせず、素早くキャッシュに回転させるか。そして、常に月商3ヶ月分の現金を口座に光らせておくこと。このスピード感と厚みこそが、強い財務体質を作ります。

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2026.1.25

決算書の診方(1):貸借対照表(BS)の「右側」にまず着眼せよ!

  • 皆さんは決算書を見る際、どこに着目しますか?
    おそらく、「売上」がいくらで、「利益」が出ているか、といったように、PL(損益計算書)に着目される方が多いはずです。

    しかし、「店舗資金繰りコンサルタント」である私が着目するのは、PL(損益計算書:フロー)よりもBS(貸借対照表:フローの蓄積であるストック)です。

    では、BSの具体的にどこを見るのか?
    色々見るポイントは色々と存在しますが、まずは、左側の「資産」ではなく、右側の「負債・純資産」に着眼します。

    右側は、左側の「資産をどう調達したか?」という情報が記載されていますが、ここを紐解くだけで、会社の健康状態は結構見えてきます。本日は、右側のどこに着眼し、どう診断すべきかを解説します。

    ▼「純資産」の厚み:生存のデッドラインを確認する

    まずは右側の一番下、「純資産(自己資本)」を見てください。ここがマイナスになっている状態を「債務超過」と言います。これは、会社の全資産を売り払っても借金を返せない、極めて危険な状態を指します。

    債務超過は赤字の蓄積によって生じますが、そこに至るまでには明確な「デッドライン」があります。

    • ●二期連続赤字:銀行の格付けが下がり、新規融資のハードルが格段に上がります 。
    • ●三期連続赤字:「自力再建が困難」と見なされ、支援の打ち切りや条件変更を迫られるのが現実です。
    • ●債務超過:赤字が続くとB/Sの右下にある「純資産」が削られ、やがて債務超過に至ります。こうなると、銀行にとっての「安全性」はゼロとなります。

     ▼「自己資本比率」:社員と自分を守る最強の防具

    右側全体のうち、返済不要の自分のお金(純資産)が占める割合を「自己資本比率」と呼びます。

    日本を代表するゲーム会社の実際の自己資本比率(最新値)を見てみましょう。その「右側」は驚異的な厚みです。
    ・コーエーテクモHD:89.9%(2025年3月期実績)
    ・任天堂:77.5%(2026年3月期 第2四半期)

    これほどまでに右側の「純資産」を厚くするのは、ヒット作が出るかどうかのギャンブル性が高い業界において、たとえ数年間売上が振るわなくても、社員を路頭に迷わせず再起を図るための「最強の防具(ヘッジ)」だからです。店舗経営においても、右側の厚みを積み上げることは、パンデミックや物価高といった不測の事態から身を守るための重要な手段となります。

    しかし、「自己資本比率が高ければ高いほどいい」とは言えません。

    え?なぜ?と思ったでしょう。

    なぜなら、自分のお金(自己資本)だけに頼りすぎる経営は、借入(他人資本)を活用して成長を加速させる「レバレッジ」を放棄しているとも言えるからです。儲かる事業であれば、借金をしてでも投資すべきですが、それを行わないのは、それはそれで問題というわけです。また、自己資金のみでは成長の波に乗るチャンスを逃してしまいます。

    ▼「ROE(自己資本利益率)」:資本をどれだけ効率よく回しているか

    そこで重要になるのが、「自分のお金(自己資本)を使ってどれだけ利益を稼ぎ出したか」を示す「ROE(自己資本利益率)」という指標です。

    ROEは「利益÷自己資本」で計算されるため、以下の2つのパターンで数値が動きます。

    • ●自己資本が多く利益が少ないパターン(パターンA):いくら純資産(右下の厚み)があっても、利益が少なければROEは低くなります。これは、言わば、大きなエンジンを積んでいるのに、ノロノロ運転をしている状態。非常に安全ですが、経営効率としては「お金を寝かせている」と評価されてしまいます。
    • ●自己資本が少なく利益が多い場合(パターンB):逆に、自分のお金が少なくても、借入金を活用して大きな利益を出せば、ROEは跳ね上がります。これが「レバレッジ(テコの原理)を効かせた経営」です。少ない元手で大きく稼ぐことができれば、スピード感のある経営が出来ます。

    ただし、ここには罠があります。パターンBのようにレバレッジを効かせすぎると、景気変動などで一度利益が落ち込んだ際、一気に「債務超過」へと転落するリスクを孕んでいるのです。

    一般的には、「10%以上」が望ましいとされていますが、
    ・自己資本比率:「安全性(守り)」の指標
    ・ROE:「収益性(攻め・効率)」の指標

    この「守りの厚み」と「攻めの効率」のバランスが取れていることが、理想的な「右側」の姿です。先ほどの2社の数値はなかなかのものです。
    ・コーエーテクモHD:71%(2025年3月期実績)
    ・任天堂:47%(2025年3月期実績)

    両社とも高い安全性(自己資本比率)を維持しながら、なおかつ効率的に稼ぐ力(ROE 10%超)を両立させています。

    ▼投資家としての独り言:任天堂株への想い

    私は投資好きで、実際に任天堂やコーエーテクモの株を保有しています(笑)。

    最近の任天堂の株価は、株高のなか下落気味で、保有者としては残念ではありますが、私の心は一切揺らいでいません。なぜなら、右側に積み上がった圧倒的な純資産の健全さと、10%を超える確かな稼ぐ力(ROE)があることを決算書を通じて知っているからです。圧倒的な「体力」と稼ぐ力があるため、また浮遊できると信じています。
    そのため、株価が下がったら、追加購入しています。ただ、如何せん、任天堂の株は一単元の価格が高いため、追加で購入する際は正直なところ「ひーひー」言いながら買い増しをしています(笑)。 

    ▼まとめ

    「うちは無借金だから健全だ」「利益は出ているから大丈夫だ」
    そう断言する前に、今回絞り込んだ「B/Sの右側」という視点でいま一度決算書を診てみませんか?
    大切なのは、安全性という盾(自己資本)を持ちつつ、ROEという矛(効率)をどう振るうか。任天堂ほどの比率は必要ありませんが、あなたの業態やステージに合わせた最適な配合が必ずあります。
    強固な財務基盤があれば、経営はもっと自由になり、ダイナミックな挑戦ができるようになります。
    「ウチの右側のバランスはどうだろう?」と気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。今のあなたに最適な「お金の戦略」を共に描き、永く愛される店作りを支えます。

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2026.1.19

飲食店の人手不足を逆手に取る!戦略的「セルフ化」×「体験価値化」

  • 飲食店において「人」の悩みは尽きません。
    「時給を上げても応募がない」
    「せっかく雇ったバイトがすぐ辞めてしまう」
    「バイトが集まらず店が回らない」
    といった声はよく聞かれます。

    一方で、幸い人材を確保出来たとしても、人件費は「固定費」となりますので、需要に応じて人をうまく活かせないと経営を圧迫します。例えば、バイトに入ってもらったのに関わらず、お客さんが来なくて暇な日は、大幅赤字ですよね?
    人手不足なことに加え、(日本は他国に比べ賃金上昇率が高くはありませんが)賃金は上昇傾向にあり、今後も間違いなく上がり続けることでしょう。
    つまり、人材確保が困難な上に、その調達コストは上がり続けているのです。

    先日のブログでも取り上げましたとおり、日本料理店の倒産が前年同期比で53.3%増と急増していますが、その最大の要因は「固定費」です。具体的には、豪華な内装・店舗といった「有形固定資産」、熟練の職人やホールスタッフといった「人件費」が経営上の重しとなっています。
    スモールビジネスが薄利多売ではなく高付加価値化していくことは望ましい方向と言えますが、固定費増を伴う高付加価値化は、売上が想定通りに伸びなかった瞬間に、経営を一気に不安定化させる危うさを秘めています。

    こうしたことを踏まえると、不足する労働力を嘆くのではなく、ピンチをチャンスに変える。つまり、「重い鎧(固定費)を脱ぎ捨て、身軽な経営にシフトする」「人がいなくても儲かる体質」へ変えるチャンス(好機)だと考えます。

    これらを実現するために必要なキーワードは以下です。

    • ●標準化・効率化・DX化:オペレーションを簡素化し、誰でも回せる仕組みを作る。オペレーションを簡素化すると教育コストが抑えられる恩恵もあり(後述)。
    • ●セルフサービス化:お客の力を借りることでスタッフの労力・シフトを減らす。
    • ●GIGワークスの活用:タイミー等のスポット人材を教育コストゼロで即戦力化する。

    ▼セルフサービスは「手抜き」ではなく「価値」になる!?

    「セルフサービスにしたら客が離れるのでは?」と不安になる経営者も多いですが、実はそんなことはありません。昨今の物価高の中、お客様は「この店はこういうシステムなんだ」と意外なほど柔軟に受け入れてくれます。むしろ、以下のようなメリットは顧客にとって満足度以上の「体験価値」に変わることさえあります。豊かになった現代社会においては、モノ(商品)よりコト(体験)に価値を見出す人が多いですからね。

    • ●自分流にカスタマイズする楽しさ:お酒の濃さを自分好みに調整したり、トッピングを組み合わせたりする体験は、エンターテインメントとしての楽しさを生みます。若者に人気の大手しゃぶしゃぶチェーン「しゃぶ葉」のように、自分で作るプロセスそのものが付加価値となる場合もあります。
    • ●気兼ねのない自由な空間:店員を呼ぶ手間が省け、自分のタイミングで動けることはお客様にとってのストレスフリーに繋がります 。
    • ●不便の先にある納得感:「セルフだからこそこの品質の料理がこの価格で楽しめる」という売りやストーリーがあれば、お客様は喜んで協力してくれます。さらに、そのセルフ行為自体に楽しさやエンターテインメント性が備わっているとベストです。

    ▼教育コストを「財務メリット」に変える

    実はここで挙げた内容は、先日私が実際に経営改善を支援した飲食店へ提案した内容に基づいています。そのお店では、人手不足、固定費の重しに直面し、働けど働けどキャッシュが生まない構造に陥っていました。

    そこで、
    ・オペレーションを徹底的にセルフ化・簡素化
    ・注文をQRコードやセルフ入力式に変更
    ・アルコールドリンクやカトラリーをセルフ化すること
    を提案しました。

    これにより、店主・スタッフは「料理を作る」という本質的なコア業務に集中でき、最大の財務的メリットである「タイミー」などのスポット人材を使い倒せる体制が整います。教育が不要な仕組みなら、今日来たばかりのスタッフでも即戦力となり、毎月の固定人件費という重しから解放されるのです。 


    ▼まとめ

    会社が潰れるのは赤字だからではありません。現金(キャッシュ)が尽きた時です。豪華な内装や過剰なサービスに投資する前に、まずは「一人でも確実に利益が残る構造」を作りましょう 。

    安さで客を惹きつけるのはもうやめ、「セルフならではの楽しさ」と「手間を省いたからこそ提供できる妥協なき味」で勝負する。2026年を勝ち抜くスモールビジネスの勝ち筋です。

    「ウチの店をどう刷新すればいいか?」
    「セルフ化の導入で資金繰りがどう変わるか試算したい」
    そう思われた方は、ぜひ一度ご相談ください。財務・経営改善の視点から、あなたの店を「安心して挑戦できる土台」へと作り替えるお手伝いをします。

     

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2026.1.16

経営者が行うべき、非課税制度を活用した「守り」×「攻め」のプライベート投資戦略

  • 最近、知り合いの経営者や個人事業主から、資産運用・投資に関して「教えてほしい」とか「相談に乗ってほしい」と言われることが多くなってきました。

    先日も、個人事業主の知り合い(30代前半、投資未経験者)から、「投資を始めたいが何をどう進めたらいいのか?」という相談を受けました。
    「老後の資産形成というよりは、投資でお金を増やして不労所得も得たい」「月10万円ほど投資に回せる」とのこと。個人事業主(フリーランスのエンジニア)としてバリバリ働いているものの(自分ではなく)お金に働かせて、豊かさを享受したいようです。

    最適な資産運用・投資のスタイルは年齢や家族構成、またその人の収入・リスク許容度など様々な要素によって異なりますが、モデルケースとして、投資好きの財務コンサルタントである私が彼に実際に提案した投資戦略をご紹介します。

    ちなみに、会社員の方については以下のNote記事をご覧くださいね。
    会社員こそ投資せよ!会社員特権をフル活用した2大投資戦略|小林ゆ | フードビジネス×お金に強い店舗資金繰りの伴走者


    ▼鉄則1:最高の投資先は「知識」であり、原資は「先取り」で作る

    具体的な手法の前に、私が彼に伝えた「投資の心構え」が2つあります。

    • ●最高の投資先は「自分の知識」:具体的な話をする前に、私が彼に第一に伝えたことがあります。それは「お金の勉強をしなさい」ということです。知識がないまま投資を始めるのは、ルールを知らずに勝負に挑むようなもの。そして、投資とは他人任せで行うものではなく自己責任で行うもの。そのため、知識をきちんと身に付けておくことが必要。そこで、私が数多く読んできたマネー本の中から、おすすめのマネー本を推奨しました。それは「本当の自由を手に入れる お金の大学」(両@リベ大学長)です。
    • ●投資は「余った金」でするものではない:「余剰金が出たら投資する」では一生お金は貯まりません。収入の1〜2割を先に差し引く「先取り投資」が鉄則です 。残ったお金の範囲で生活を工夫する。これは、これまた有名なマネー本である「バビロン大富豪の教え」の1つ(7つある鉄則のうち一番先頭の教え)でもあります。

     ▼鉄則2:2つの非課税制度を「守り」と「攻め」でフル活用

    そして次に、具体的な戦略として、非課税制度を「守り」と「攻め」でフル活用することを推奨しました。

     ①【守り】iDeCo&小規模企業共済:節税×長期積立
    個人事業主がまず検討すべき「守り」の代表格は、小規模企業共済とiDeCoです。

    • ●戦略:小規模企業共済は「経営者の退職金」として積立。iDecoは全世界株式(オルカン)などのインデックス投信を積み立て。
    • ●狙い:個人事業主にとって、これらの掛金が全額「所得控除」になるメリットは絶大。特に小規模企業共済は「貸付制度(積立額の範囲で低利で借入できる)」があるため、資金繰りの安全網としても機能。運用成績に関わらず「預けた瞬間に所得税・住民税が安くなる」ため、実質的な利回りが確定しているようなもの。老後の年金対策としてこれほど堅実な守りはありません。

    【攻め】NISA:生きたキャッシュを手にし、今の豊かさを掴む
    一方でNISAは、機動力を活かした「攻め」に徹します。

    • ●戦略:投資信託だけでなく、米国株ETFや個別株を組み合わせる。
    • ●狙い:中長期的な忍耐が必要なインデックス積立だけでは、爆発力がない上、豊かさが享受しにくい。そのため、配当(インカムゲイン)と差益(キャピタルゲイン)が狙える個別銘柄やETFを買うことで「今、使える生きたキャッシュ」を手に入れる。これにより投資の恩恵をリアルに感じながらモチベーションを維持できます。

    また、これらを全体俯瞰すると、非常にバランスの取れた「分散投資」の理想形が完成します。

    • ●銘柄の分散:投資信託と個別株・ETFの組み合わせ。
    • ●時間の分散:積み立てによる「時間分散」と、一括やスポット買いを混ぜる「タイミングの分散」。
    • ●出口の分散:「60歳以降の年金(iDeCo)」と「いつでも引き出せ、今キャッシュを生む資産(NISA)」。

    この構成により、不況時でも「所得控除」と「インデックス」が土台を支え、好況時には「個別株・ETF」が資産を押し上げる。30代という若さなら、この複利のパワーを数十年間にわたって享受できるでしょう。

     

    ▼まとめ

    今回の戦略は、「60歳以降の安心(iDeCo)」と「今すぐ使える機動力(NISA)」を組み合わせた、理想的なハイブリッド投資戦略です。使える優遇制度は目一杯使いましょう。

    ちなみに、1時間ほど無料で相談に乗りましたが、一緒した夕食の席では、全ておごってくれました(笑)。彼にとっては、これから数十年で生み出されるリターンを考えれば、安い投資だったのでしょう。

    ここから着想を得て、例えば、Facebookの友達限定とかで、会食しながらの「経営&資産運用の壁打ち(コンサル料:無料、会食費:全額負担要)」をやったら、需要あるかなとふと思ったりしています(やってみようかな~)。

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2026.1.11

全ての経営者必見!キャッシュを生み出す源泉とは?

  • ビジネスにおいて「利益よりもキャッシュが重要だ」と、私はこのブログで何度もお伝えしてきました。では、そのキャッシュ(現金)を生み出す「源泉」とは一体何でしょうか?
    それはズバリ「資産」です。

    世界的ベストセラーのマネー本で、私も好きな『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者である、ロバート・キヨサキ氏は、次のように言いました。
    「資産とは、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの」と。
    極めてシンプルですが、これこそが資本主義社会における通念と言えます。

    一方、逆に、あなたのポケットからお金を奪っていくものは「負債(借金)」です。
    ただ、「借金」には「良い借金」と「悪い借金」があり、良い借金とは、毎月自分のポケットにお金を入れてくれる借金(投資目的:収益性不動産購入、事業拡大資金他)です。

    キャッシュフローを得たいのであれば、「良い借金」から投資を行い、「資産」を増やし続けなければなりません。しかし、ここで多くの経営者が陥る罠があります。それは、「資産を増やす=目に見える有形資産を増やす」ことだと勘違いしてしまうことです。

    ▼「持たない経営」こそがBSを健全にする

    ビジネスにおいて、立派な自社ビルや最新の豪華な設備など、BS(貸借対照表)の左側に載ってくる「有形固定資産」を増やすことが正解とは限りません。有形資産を持てば持つほど維持費がかかり、固定資産税などの固定費も発生します。これらは、時としてあなたのポケットからお金を奪う「負債」のような動きをします。

    このリスクを象徴するのが、以前のブログでも取り上げましたが、「イマーシブ・フォート東京」や倒産が急増している「日本料理店」です。「イマーシブ・フォート東京」については、広大で豪華な施設・設備という莫大な初期投資・維持費に加えて、大勢の演者を雇用し続けなければならない固定費が、大きな重しになっていると考えらえます。また、日本料理店の倒産が相次いでいるのも、豪華な店構えや土地の維持コストが、市場環境の変化の中で致命的な「お荷物」となった側面が否定できません。

    「有形固定資産」を持つことは悪だとは言いませんが、その分、固定費が重くなり、損益分岐点売上高が高くなることを十分留意すべきです。リソースの少ないスモールビジネスにおいては、「有形固定資産」を増やすことよりも「キャッシュを生む『簿外資産』を増やす」ことを優先すべきと考えます。

    ▼最も強固な簿外資産とは?

    BSには載ってこないけれど、あなたの店に休むことなく現金を運び続けてくれる目に見えない資産である「簿外資産」。これこそが店舗ビジネスの成否を分ける真の資産です。

    具体的には以下のようなものが挙げられます。

    • ●良好な口コミ(信頼の蓄積):広告費ゼロで客を呼び続ける。
    • ●優秀な社員と仕組み化:属人化しないオペレーションが価値を最大化させる。
    • ●銀行との良好な関係性:いざという時に「最速・好条件」で資金を調達できる信用力。
    • ●魅力的な商品・メニューと品質:他店が真似できない独自性が、高い利益率を維持する。
    • ●営業資産(チラシ・HP・SNS他):24時間休まず集客し続ける「自動集客装置」になっているとベスト。
    • ●優良な顧客:確実にリピートを生む経営の基盤。

    これらは目には見えませんし、帳簿上にも載りません。しかし、これら「簿外資産」の質を高めることこそが、結果として最も効率的にキャッシュを生み出し続けるのです。

    なかでも、店舗ビジネスの存続と成長において他と一線を画すほど重要になる簿外資産が「銀行との良好な関係性」と言えます。

    言わずもがなではありますが、キャッシュが尽きると倒産します。
    この大事なキャッシュが必要な局面で銀行から最良の条件でスムーズに資金調達ができる。この「信用力」こそが、有形資産をも凌駕する最強の武器となります。

    しかし、この「信用」という簿外資産は一朝一夕には築けません。戦略的なアプローチが必要です。

    • ●銀行が「この会社・経営者なら貸したい」と思える精度の高い財務資料の提示
    • ●試算表に基づいた論理的で嘘のないコミュニケーション
    • ●未来を見据えた返済計画と成長戦略の共有。半年先、1年先のキャッシュ推移を「予測資金繰り表」で提示できれば、「いつ、いくら必要で、いつ返せるか」を論理的に説明できますよ?

    これらを継続的に積み上げていくことでしか真の信用は生まれません。信頼とは貯金なのです。

    ▼プロの支援が簿外資産の質を劇的に高める

    この戦略的な関係構築を、経営者が独力で、かつ現場を切り盛りしながら完結させるのは至難の業です。

    だからこそ、財務・資金繰りのプロ(財務コンサルタント)から支援を受けることが、最も効果的かつ確実な近道となります。プロが間に入ることで、銀行が求める「共通言語」で自社の強みを正しく伝えることができ、関係構築のスピードと質が劇的に変わります。

    ▼まとめ

    経営者の仕事とは単に日々の売上を追うことではありません。「明日、自分のポケットにお金を運んでくれる簿外資産を、今日どれだけ積み上げられたか?」かも大事なのです。

    もし、あなたの店に
    「利益は出ているのにキャッシュが残らない」
    「銀行との付き合い方がわからない」
    という悩みがあるのなら、それは簿外資産の構築を後回しにしているサインかもしれません。

    あなたの店の「簿外資産」をどう磨き上げ、キャッシュフローを最大化させるか。その第一歩として、まずは初回無料の個別相談を通じて、現状の立ち位置と目指すべき方向性を可視化していきましょう。

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2026.1.8

資産運用も店舗経営もキャッシュが命!

  • 私事ではありますが、2025年、退職金を元手とした投資運用が想定以上にうまく回り、結果的にサイドFIRE的な状態になりました。

    一般的にFIRE(経済的自立と早期退職)と言えば、金融資産1億円超を所有し、そのインカムゲイン(不労所得)で生活を賄える状態を指します。私の場合、昨年の収益の多くは株の売買によるキャピタルゲイン(売却益)です。キャピタルゲインを得るには、売買という「労働」が発生するため、厳密には「不労所得」とは言い難く、そういった点で言うと、「サイドFIRE」とは呼べないのかもしれません。でも、投資収益によって生活費の半分以上、というか全てを賄えている…この状態は一体何と呼ぶのが正解なのでしょうか?「デイトレーダー」でしょうか?(笑)

    少し脱線してしまいましたが、サイドFIRE(?)は元々計画していましたが、1年早く実現することが出来ました。この主な理由としては以下の5つと自己分析しています。

    1. 株高の波に乗れたから(同窓の高市さん、ありがとう・・・笑)
    2. 生活費が低いから(趣味はお金のかからない山登り。サイゼリヤ・日高屋で豊かさを享受できる私・・・笑)
    3. 退職金という投資の種銭を得たから(保険なども解約し、投資に回しました)
    4. お金の勉強をきちんとしたから(マネー本を100冊ほど吸収)
    5. 様々な投資経験を経て、自分の得意な投資スタイルを見つけることが出来たから(ワンルームマンション投資、FX、株、保険、買わない不動産投資など色々と経験してきました…辛酸なめ子でした)

    なお、サイドFIRE(?)を実現しても、(良いのか悪いのか)労働集約型多めで働いていますが、2026年は「選択と集中」を意識し、自分にとって価値のある仕事に取り組んでいきたいと考えています。自分にとって価値のある仕事、つまり「フードビジネスを対象とした店舗資金繰りコンサルタント」のお仕事に多くの時間・労力を注ぐつもりです。

    さて、本日のブログではいつもと毛色を変えて、私の投資に対する考え・価値観についてお話ししてみたいと思います。なお、投資(金融投資のみに限定せず)をためらっていては、現状維持すら難しく、ましてや成長など望めません。これは資産運用も店舗経営も、そして人生においても同じことです!

    ▼投資格言「含み益は幻」に込められた真実

    今、「全世界株式(オルカン)」や「S&P500」といったインデックス投資がブームです。
    私が読んだ多くのマネー本でも推奨されており、長期×積立×分散+放置できる点は魅力に思います(特に平日に取引できない会社員の方にとっては)。
    ただ、個人的にはインデックス投資への「一本足打法」はどうかな?と思っています。

    なぜなら、大きなネックがあるからです。それは、基本的に分配金が再投資されるため、手元に1円のキャッシュも生まない点です。つまり、取り崩さない限り豊かさを享受できないのです。
    加えて、インデックス投資で複利の恩恵を十分に受け、まとまった利益を享受するには、10年、20年といったなかなか遠い先の話で、相当な「時間」が必要になります。中長期の忍耐が前提のモデルであり、今日明日の生活を劇的に変える力はありません。

    投資の世界には、古くから伝わる「含み益は幻、確定益こそが実利」という格言があります。つまり、いくら含み益が積みあがっても、それは「幻」に過ぎないのです(この幻に浮かれて、気持ちが大きくなって、金遣いが荒くなるケースも往々にしてありますね)。取り崩すまで生活が楽になった実感を持てないモデルは、老後資産目的と捉えれば問題ありませんが、「投資によって『今』を多少なりとも豊かにしたい」と考える私にとっては、少し合わないと感じました。

    その結果、私は現在「割安高配当株」を使ってお金を第一線で働かせるとともに、その利益をNISA枠やiDeCo枠のインデックス投資で寝かせて成長させるという両輪の戦略を取っています。なお、割安高配当株に投資することで、配当(インカムゲイン)と値上がり益(キャピタルゲイン)の両方を狙えるため、非常に旨味が多いのです。
    事実、このような投資方法+αで、私は、年間500万円超の投資収益を生むことが出来ました(単なる株高に乗っただけではないと信じています)。イン)と値上がり益(キャピタルゲイン)の両方を狙えるため、非常に旨味が多いのです。

    ▼健康なうちにキャッシュを享受する投資の価値

    私は、投資においても経営においても、「今、キャッシュを生み出しているか」を優先して考えるようにしています。

    将来のために、今現在の豊かさを全てお預けにすることには、あまり価値を感じません。健康・元気で、余命がまだまだある「今」という時間に、投資が生み出した確定益(=キャッシュ)を享受してこそ、人生が豊かになるのではないかと考えます。後期高齢者になって、気力が衰えた時点で多くの資産を手にしていたとしても……と思ってしまうのです。極論と言うと、彼らが持つ莫大な資産+αと引き換えに、投資の天才・ウォーレンバフェット(95歳)や、ドナルド・トランプ(79歳)になりたいと思うでしょうか?いずれも高齢です。

    こうした考え方については、ビル・パーキンス氏の著書『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』が参考になりますし、私自身もその影響を受けているのかもしれません。人生の幸福度を高めるのは、その時々にしかできない「今」の「体験」への投資なのだと再確認させてくれる一冊です。

    ▼店舗経営と投資の共通点:キャッシュが命

    視点を変えますが、店舗ビジネスにおいて、帳簿上の利益があっても手元に現金がない状態は「黒字倒産」の予備軍であり、まさに「キャッシュが命」です。
    「Cash is King」「利益は意見、キャッシュは事実」という格言がありますが、これはまさに「含み益は幻、確定益こそが実利」という投資格言にも通じます。店舗経営においても、いかに早く、確実にキャッシュを回収し、手元の現金を厚くしていくかが生き残りのキーとなります。

    ▼まとめ

    資本主義社会において、お金について学ぶことは最もリターンの良い投資です。また、資産運用も店舗経営もキャッシュがとても重要なのです。

    そして、私自身、「お金の不安」が消えたことで、“本当に価値がある仕事”に集中できるようになりました。私がサイドFIREという土台を得て、安心して仕事に挑戦できているように、あなたの会社も、プロの手によって強固な「財務基盤」ができれば、経営はもっと自由で、ダイナミックなものになります。あなたが「お金の不安(守り)」から解放され、本来やりたかった「理想の経営(攻め)」に100%集中できる土台作りを、財務と経営改善の両面から伴走支援します。まずは、初回無料の個別相談にお申込みください。現状の問題点を明確化し、あなたが目指すべき方向性を一緒に示していきます。

    ※本記事は筆者個人の経験と見解に基づくものであり、特定の投資を推奨するものではありません。投資はリスクを伴いますので、最終的な判断はご自身の責任(自己責任)で行ってください。

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2026.1.7
美容室の倒産が過去最多!手数料貧乏と労働の限界を突破する逆転戦略とは?

  • 先日、「飲食店の最新倒産動向―日本料理店の倒産が53%増の衝撃!」というブログで、飲食店の倒産急増について取り上げたばかりではありますが、また衝撃的な倒産データが明らかになりました。

    帝国データバンクが2025年11月に発表した調査によると、美容室の倒産件数が10月時点ですでに過去最多を大幅に更新しました(!)。11~12月を残した状態で過去最悪を記録したという事実は、美容業界がいま、飲食店以上に過酷な淘汰の嵐にあることを示しています。

    コンビニの店舗数(約5.5万軒)の5倍近く、約27万軒以上も存在すると言われる美容室。
    なぜ今、これほどまでに潰れる店が後を絶たないのか?そして、4割が赤字と言われるこの厳しい状況ををどう生き抜くべきか?
    今回は、その真因を探るとともに、私が実際に支援に入ったサロンの逆転の処方箋(ケーススタディ)も特別に公開していきます。 

    ▼サロン経営を苦しめる三重苦の正体

    数字の裏には3つの構造的欠陥(三重苦)が存在すると診ています。

    • 「手数料貧乏」のループ:大手予約サイトに掲載しないと新規集客できないが、高額な掲載費と送客手数料で利益がほとんど残らない。
    • 「労働集約型」の限界:労働力(人)に依存するビジネスモデルのため、人が居ないと売上が立たず、売上の天井も存在。加えて、スタッフの退職が倒産危機に直結する。
    • 「コロナ融資」の返済本格化:コロナ禍を生き延びるために借りた融資の返済が始まり、客足が戻りきらない中で手元の現金(キャッシュ)が枯渇。

    街を見渡せば美容室だらけ。人口は減るのに店は増える「消耗戦」から抜け出すには、ビジネスモデルをアップデートする必要があります。

    ▼【実録】私が支援したサロンの逆転処方箋

    私が実際にコンサルとして支援に入ったあるサロンの実例をご紹介します。

    このサロンは、高い技術力を持ち、すでに多くの常連客を抱えていました。しかし、人(スタッフ)が増やせないため売上高がなかなか伸ばせず、且つ、物価高によって利益率が低下していたのです。
    そこで私が提案した方向性は一つ。「新規集客と労働集約からの脱却(脱皮)」です。
    具体的に提案したのが以下の3つの処方箋です。

    処方箋①:「媒体手数料」からの脱却
    まず、利益を圧迫する大手予約サイトへの依存を段階的に減らしました。
    「一見さん」を追うのをやめ、LINE公式アカウントを本格導入。既存客をすべて自社リスト化し、直接予約・メッセージ送信ができる体制を作りました。予約手数料をゼロにするだけで、販管費は圧縮され、お客様とのエンゲージメント(ファン度)も向上しました。

    処方箋②:「労働集約型」からの脱却
    美容室業はスタッフの稼働時間が売上の上限を決めてしまう「労働集約型」の典型と言えます。この制約を突破する鍵は(多くのサロンが取り組むところではありますが)労働力を伴わない売上の拡大にあります。

    • 無人営業マシーン設置:全鏡の前にタブレット端末を設置。施術中にヘッドスパの魅力や店販アイテムをスライドショーで流しました。スタッフが営業トークをしなくても、お客様の興味を自然に喚起する。このPR強化により、スタッフの負担を増やすことなく、美容グッズや健康食品といった物販に繋がり、「労働に依存しない収益化」に成功しました。
    • 空間の収益化:活用しきれていなかった2階スペースを美容室とシナジーのあるネイルやエステの専門家と連携した「共有スペース」として再定義。自店舗が「美容のハブ(拠点)」となり、お客様のトータルなQOL(生活の質)向上をワンストップで叶える。これによりお客様の満足度は上がり、提携するネイリスト等にも売上が立ち、店側には労働ゼロの「場所代収益」が入る。まさに三方よしのビジネスモデルへと進化する提案を行いました。

    処方箋③:「過当競争」からの脱却
    無理な新規集客はあえて捨てて、リソースを既存客の「客単価向上」に100%投入。「客数は追わず、客単価を追う」。代わりに、高単価なヘッドスパメニューを開発し、常連客にPR。スタッフを増やすことなく利益率を改善することに成功しました。

    ▼まとめ

    美容室の倒産急増は、旧来の「技術一本・労働集約・媒体依存」というビジネスモデルのままでは生き残るが難しくなったことを示しています。
    今回ご紹介した事例のように、現状を正しく診断し、労働集約型からほんの少しシフトすることが出来れば、売上拡大とともに手元に残るキャッシュは増やせます。
    現状の延長線上にない、「選ばれ続け、利益が残るサロン」への転換に向けて、まずはあなたの悩みをお聞かせください(初回無料にてヒアリング・相談に応じます)。資金繰りと経営改善の両面から、私が伴走支援していきます。

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2026.1.6
飲み会幹事は資金繰りマスター?Amazonと同じ「CCCマイナス」の仕組みを店舗経営に活かす

  • 今まさに新年会シーズンですよね?
    実は私も、昨夜仕事仲間との新年会だったのですが、宴会の幹事をやりました。
    お会計は4.5万円(4.5千円×10名分)。幹事の私は、宴会の始まる前に参加者から会費を「現金」で収集。飲食後、レジでスマホ決済「PayPay(PayPayカード連携)」で全額支払いました。その瞬間、私の手元には4.5万円の現金(キャッシュ)が残った一方、私の口座からお金が引き落とされるのは「翌月の27日」です。
    ちなみに、PayPayポイントを225ptゲットした他、ぐるなびで予約したので楽天ポイントが50pt×10=500ptゲットしています。

    この時、ふと思いました。「これは、AmazonやAppleと同じような『CCCマイナス』のモデルだな」と。

    今回は、飲み会の幹事をヒントに、店舗ビジネスの資金繰りを劇的に改善する「CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)」について解説します。

    ▼「幹事」が最強である財務的な理由

    私がやった幹事の行動を財務的に分解するとこうなります。

    • ●現金の即時回収(Cash In):参加者からその場で現金を回収(Day0)
    • ●支払いの先送り(Cash Out):クレカ引き落としまで支払いを猶予(Day45)
    • ●結果:45日間、手元に「4.5万円」が無利息で滞留する

    この45日間、私はこの4.5万円を投資に回すこともできれば、別の支払いに充てることもできます。このように「商品・サービスを提供する前(あるいは支払いをする前)に現金を回収する」状態を専門用語で「CCCマイナス(ネガティブ・キャッシュ・サイクル)」と呼びます。

    そもそも、CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)とは、仕入代金を支払ってから売上を回収するまでの日数を示す指標です。この日数が短ければ短いほど、資金繰りは楽になります。実は、AmazonやAppleといった世界的企業は、このCCCがなんとマイナスであることで有名です。Amazonでは、消費者がカードで決済した瞬間に売上が確定しますが、Amazonが出版社やメーカーに代金を支払うのは数ヶ月先です。だから彼らは、手元に莫大なキャッシュが残り、それを物流倉庫やデータセンターへの投資に回すことができるのです。


    ▼多くの店舗は「CCCプラス」で苦しんでいる

    一方で、多くの店舗ビジネスはどうでしょうか?
    残念ながら、真逆の「CCCプラス」の状態です。

    • ●食材の仕入れ(Cash Out):月末に業者へ支払う。
    • ●販売・カード決済(Cash In):お客様がカードで支払うと入金されるのは翌月末。
    • ●結果:先にお金が出ていき、入ってくるのは遅い。

    この「入金と出金のタイムラグ(サイト負け)」を埋めるために、銀行から運転資金を借りなければなりません。売れば売るほど一時的にお金が足りなくなる。これが店舗ビジネスの資金繰りを苦しめる要因の一つです。

    ▼店舗ビジネスでCCC短縮を再現する3つの技

    ウチはAmazonじゃないから無理だ?
    いえいえ、工夫次第であなたの店も「幹事モデル」になれます。CCCを短縮し、手元キャッシュを厚くする具体的な方法をご紹介します。

    ①前受金ビジネスを取り入れる(Inを早める)
    飲み会の会費のように、サービス提供前に現金を回収しましょう。
    回数券・チケット販売:美容室や整体院の王道ですが、飲食店でもコーヒーチケットやボトルキープはこれに当たります。 イベント・教室開催:「店主が教える料理教室」などを開催し、参加費を事前決済や当日現金でもらう。材料費の支払いは後日なので手元資金が増えます。

    ②支払いを後ろに倒す(Outを遅らせる)
    幹事がカード払いで支払いを先送りしたように、店からの支払いも遅らせられないか検討します。

    • ●クレジットカード払いの活用:仕入れや経費を銀行振込ではなくビジネスカードで支払う。これだけで支払いを1ヶ月先送りできます。
    • ●支払いサイトの交渉:長い付き合いの業者さんに「締め日を5日ずらせないか」相談してみる。数日の差が資金繰りの命運を分けることがあります。

    ③在庫を持たない「委託販売」を行う(在庫期間の短縮)
    在庫はお金が形を変えて眠っている状態です。そこで、店内の棚を地域の作家さんやパン屋さんに貸し出す「委託販売(箱貸し)」を行ってみてください。売れたら、その現金はまずレジに入ります(In)。作家さんへの支払いは翌月(Out)。在庫リスクゼロで、売れた分の現金が1ヶ月間手元に残る。まさに「幹事モデル」そのものです。

    ▼【余談】「幹事(胴元)」はお金だけでなくメリットが多い

    ここまでは資金繰りの話でしたが、最後に少し別の視点の話をしてみます。飲み会の幹事のように、イベントや企画の「主催者(胴元)」になることには、実はメリットが他にもあります。それは、胴元ビジネスというのは構造的に「赤字になりにくい(手数料収入や参加費収入が見込める)」ため、利益も確保しやすい。さらに、「顧客リスト(連絡先)」が集まることです。

    飲み会の幹事をやると、全員の連絡先を知ることができますよね?店舗ビジネスでも同様です。自店でイベントを主催したり、地域のイベントの事務局をやったりすることで、参加者の顧客情報が手に入ります。さらに、キャッシュが回り、利益が出て、さらに見込み客リストまで集まる。こう考えると、プレイヤーとして参加するだけでなく、時には「胴元」として場を仕切ることに挑戦してみるのも、賢い経営戦略の一つだと思いませんか?

    ▼まとめ

    「飲み会の幹事」は実は高度な財務戦略を無意識に実行しています。

    • ●1日でも早く貰う
    • ●1日でも遅く払う

    この「時間の差」を作り出すことができれば、売上が同じでも、会社の通帳残高は劇的に増えます。PL(売上・利益)ばかり見て、「お金の入るタイミング」を見落としていませんか?

    「ウチの店のCCCはどうなっている?」
    「どうすればマイナスに近づける?」

    そう気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。 あなたのビジネスモデルの中に眠る「資金のタイムラグ」を見つけ出し、CCC改善のお手伝い(伴走支援)をします。

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2026.1.4
「もらえるものは貰う」は危険?補助金活用の落とし穴

  • 2026.1.1のブログ「多店舗展開の壁 ―成長の『壁』を突破する財務戦略とは?」にて、「資金調達の壁」について記載したばかりですが、資金調達というのは、企業が発展していくために必要な条件、つまり必須条件とも言えます。つまり、資金調達力は、優れた経営者であるために欠かせない能力の一つなのです。

    資金調達には、融資の他、出資、社債発行、補助金が存在しますが、本日のブログでは「補助金」について取り上げてみます。

    補助金とは、融資とは異なり、原則として返済義務のない資金調達方法です。将来の返済負担を負わずに資金を得られるため、経営者にとってこれほど魅力的な響きはありません。 
    しかし、財務コンサルという立ち位置からコメントしておくと、その「返済不要」という言葉に踊らされ、「補助金ありき」で経営判断をした結果、逆に資金繰りを悪化させるケースが多いのが現実です。
    また、そもそも、申請すれば誰でも貰えるわけではありません(審査があり、採択より不採択となる割合の方が多い) 。さらに、使ったお金が全額戻ってくるわけではなく、あくまで一部補助(自己負担が必ず発生する)となります。この2点は見落としてはいけません。

    この大前提を理解いただい上で、補助金のメリットの裏側に潜む、知っておいていただきたい「6つの落とし穴」について解説します。

    1.入金までのタイムラグ(つなぎ資金が必要)

    まず大前提として、補助金は「原則後払い」です。申請が通っても、すぐにお金が入るわけではありません。まず自社で全額を立て替えて支払い、完了報告をして初めて入金されます。申請してから入金されるまで半年から1年かかることもあります。特に大型の補助金であれば数千万円単位のキャッシュアウトが先行します。このタイムラグに耐えられますか?手元資金が枯渇し、取引先への支払いが滞っては本末転倒です。申請前に、入金までの期間をカバーする「つなぎ融資」について金融機関と相談しておくなど、万全の資金計画が必要です。

    2.辞めたくても辞められない

    「やってみたけど、儲からないから撤退しよう」。通常の事業なら損切りで済みますが、補助金を使った事業はそうはいきません。補助金で購入した設備や施設を一定期間内に処分したり、事業自体を廃止したりする場合、補助金の返還が求められます。赤字を垂れ流しながら事業を継続せざるを得ない…という「縛り」が発生するリスクを認識しておく必要があります。

    3.審査を通すために「過剰投資」となる恐れあり

    多くの補助金は、「売上の増加」や「生産性向上」などの要件を満たす必要があります。 これを通すために、実力以上の「バラ色の事業計画(増収増益)」を作り込み、その計画に見合うための「身の丈に合わない高額な設備投資」をしてしまうケースがあります。ビジネスに絶対はありません。計画が下振れした時、その巨大な設備の維持費やローンの返済が、ボディブローのように経営を圧迫します。

    4.ビジネスチャンスを逃す時間・物品の「制約」が存在

    補助事業には厳しいルールがあります。「交付決定が出るまでは発注してはいけない(事前着工の禁止)」というルールがあるため、決定を待っている間に数ヶ月が経過し、タイミングを逃してしまうこともあります。

    また、意外と知られていませんが、「汎用性が高いもの(パソコンやカメラ、車など)」は補助対象外となるケースがほとんどです。「欲しかった営業車やMacBookを補助金で買おう」と思っても、それは認められません。制限だらけの中で無理に買い物をするより、自費で自由に、最速で投資した方が結果的に儲かるケースも少なくありません。

    5.事務負担の増大

    ここを甘く見ている方が非常に多いです。コロナ禍の「給付金」と同じ感覚でいると痛い目を見ます。給付金は簡単でしたが、補助金は「審査」があります。ワードで10枚にも及ぶ緻密な事業計画書の作成、相見積もりの取得、複雑な交付申請…。さらに、お金をもらった後も終わりではありません。その後5年間にわたって事業報告を求められるケースもあります。その膨大な事務コスト(人件費)を差し引いても、本当にプラスになるのか? 冷静な計算が必要です。

    6.補助金のために不必要に歪める(⇒本末転倒なアクション)

    これが最も恐ろしいケースです。加点要素(審査で有利になるポイント)を稼ぐために、「必要以上に人を雇う」「本来不要な他社と連携する」といった、経営合理性を欠いた行動をとってしまう事業者がいます。「補助金を貰うために、固定費を増やす」。これこそが、自らを困窮状態に追い込む典型的なパターンです。

    ▼私が思うこと+まとめ

    補助金には「自己負担が減る(例:1/2)」というメリットがありますが、これは裏を返せば「身銭を切る痛みが薄れる」ということでもあります。痛みが薄れると、人はどうしても判断や姿勢が甘くなります。「半額出るならこれも買っておくか」「どうせ補助金だし、少し高機能なものを入れよう」

    しかし、ビジネスにおいてきちんと「身銭を切る」ということは、単なる支払いではなく「意思表示」だと考えます。「この事業で絶対に勝つんだ」という、自分自身への決意表明であり、退路を断つ覚悟の現れだと私は思っています。

    さらに、もう一つ忘れてはならないのは「補助金の原資は、我々の血税である」ということです。あなたが補助金を受け取るということは、その「大切な血税」をいただくということです。 自己負担が減るからといって、ビジネスに対する姿勢まで緩めていい理由にはなりません。むしろ、公金を使う以上、「誰に見せても恥ずかしくない、社会にも貢献できる事業」に昇華させるという、極めてシビアな責任が伴うのです!

    最後に、真に大切なのは、「補助金がなくても、その事業をやりますか?」という問いです。答えがYESなら、ぜひ活用すべきです。しかし、答えがNO(補助金が出るならやる)であれば、一度立ち止まる勇気を持ってください。

    「ウチの場合はどうだろう?」と迷われた方は、申請代行業者に依頼する前に、まずはご相談ください。補助金獲得だけをゴールにせず、「入金までの資金繰り」や「撤退リスク」まで含めた、トータルな事業計画をサポートいたします。

    また、いざ申請を進めるとなった場合もご安心ください。当社では、強力な補助金申請代行チームと連携しており、彼らの専門知見を借りることで、採択率を高める精度の高い申請書の作成までワンストップで対応可能な体制を備えています。
    「資金繰りの安全」と「申請の確実性」、この両輪で貴社の挑戦を支えます。

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2026.1.3

イマーシブ・フォート東京営業終了に学ぶ、固定費の罠

  • 改めまして、あけましておめでとうございます。
    新年2発目の今回は、少しショッキングな時事ネタから、とても大事な「財務の教訓」を紐解いてみたいと思います。

    ▼お台場のあの施設がたった2年で撤退

    ニュース等ですでにご存知の方も多いかもしれませんが、東京・お台場にある没入型テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が、今年2月末をもって営業を終了すると発表されました。2024年3月の開業からわずか2年でのスピード撤退です。

    年末に飛び込んできたニュースに私も驚きました。というのも、実は私、つい昨年の夏にここに行ったばかりだったからです。おまけに、ここを手がけた運営会社があの有名な「株式会社刀」であることを知ったからです(知らずに利用していました笑)。

    この施設は、かつて多くの人で賑わった商業施設「ヴィーナスフォート」を改装して生まれました。そして、ここを手がけた運営会社が「株式会社刀」で、同社はUSJのV字回復を筆頭に、「ハウステンボス」や「西武園ゆうえんち」の再生、さらには「丸亀製麺」の感動体験マーケティングなど、数々のビジネスを成功に導いてきた、日本屈指のマーケター集団なのです。

    ▼実体験で感じた「財務的な違和感」

    前述のとおり私はここに一度行ったことがあります。「ザ・シャーロック」に参加したのですが、非日常感は楽しめたし、特別な体験が出来たような感覚でした。が、同時に、モヤっと感を抱きました。

    • ●メインキャストに観客が集中してなかなかな過密状態。肝心の「没入度」が削がれる。
    • ●広い施設内を終始移動するため、単純に疲れる。
    • ●断片的なシーンを追いかけた末、いまいちよくわからないまま終盤の裁判シーンに至る。

    ということで、正直な感想は「一度でいいかな」でした。兎にも角にも、「施設はとても広大でしたし、お金がかかっているだろうな」「この広大で装飾が施された施設、且つ、大勢の演者を抱えるビジネスモデルだからこそ、入場料が高額(7,800円)だったんだな」とコンサルタント視点で思いました。

     ▼敗因は「需要」と「箱(固定費)」の致命的なミスマッチ

    運営会社(株式会社刀)の公式発表によると、撤退の理由は示唆に富んでいます。

    「当初の事業計画では大人数を対象に広い施設面積を要する『ライトな体験』が大半を占めると想定しておりましたが、実際は人数を限定した『ディープな体験』に需要が強く偏ることがわかり、開業2年目にディープ体験中心への業態変更を実施しました。それにより学び得た最適な事業モデルに照らし、本施設規模が過大であると判断し、営業を終了する決断に至りました」

    そもそも「イマーシブ(没入)体験」というものは、参加者一人ひとりの没入度が価値を決めるため、「規模の経済」が働きにくい構造を持っています。人数を入れれば入れるほど、(私も感じたとおり)没入感という価値が下がる。しかし、大人数用の巨大な家賃・大勢の演者の給与を払い続けるためには、大勢の客を集めないとビジネスが回らない。しかし、人が入れば(一人ひとりの没入感を大事にするビジネスであるため)その分没入感(満足度)が下がる。すると、会社側が期待したリピート利用は下がる。まさに、身動きの取れないジレンマに陥ってしまったと言えるでしょう。これこそが、財務的な「詰み(構造欠陥)」なのです。

     ▼損切りの速さは称賛に値する

    ただ、今回の件で一つだけ称賛すべき点があります。それは「撤退判断(損切り)の速さ」です。 わずか2年で見切りをつけ、傷口が広がる前に撤退を決めたスピード感はさすがです。

    多くの中小企業経営者は、サンクコスト(過去の投資)や見栄に縛られ、ズルズルと赤字を垂れ流して再起不能になるまで続けてしまいます。「間違ったと思ったら、即座に止血する」。この決断力については見習うべきです。

    ▼沖縄「JUNGLIA(ジャングリア)」は大丈夫か?

    ここで懸念されるのが、同じく株式会社刀が沖縄で手がける大型テーマパーク「JUNGLIA(ジャングリア)」です。こちらも「大自然への没入」を掲げた素晴らしいコンセプトですが、財務的な視点で見ると、イマーシブ・フォート東京と同様に「膨大な固定費(広大な敷地・設備・人員)」を抱えるモデルと言えるでしょう。

    もしジャングリアも、高固定費を前提としつつ、集客(回転数)が想定を下回るようなことがあれば…。沖縄は東京に比べて商圏人口が圧倒的に少なく、台風などの季節要因も大きい地域です。「固定費の怪物」を飼い慣らす難易度は、お台場以上に高い可能性があります。

    ▼スモールビジネスは身軽であれ

    天才マーケター率いる大企業でさえ、固定費のコントロールと需給の読みを誤れば、たった2年で撤退を余儀なくされます。2025年12月23日のブログ「飲食店の最新倒産動向―日本料理店の倒産が53%増の衝撃!」でも触れましたが、高級日本料理店が危機に瀕している理由も、職人の人件費や立地・内装といった「重たい固定費」に対し、客数(売上)が追いつかなくなったことが原因でした。規模こそ違いますが、イマーシブ・フォート東京も、街の日本料理店も構造は同じで、「固定費の罠」にかかっています。

    スモールビジネスがここから学ぶべき教訓は、「極力高い固定費を持たない」「撤退・損切は早めに決断する」ことです。具体的には以下。

    • ●広いオフィスや豪華な内装は避ける。
    • ●固定給の正社員を安易に増やす前に、外注やITで代替できないか考える。
    • ●「ディープな体験(高単価・少人数)」をやるなら、箱(家賃)は極限まで小さくする。
    • ●事業計画の段階で撤退基準を設けておく(冷静沈着な状態で撤退条件を設定する)。

    重い鎧(固定費)を脱ぎ捨て、損益分岐点を下げた「身軽な経営」を目指しましょう。「ウチの固定費、高すぎないか?」と不安になった方は、ぜひ一度ご相談ください。財務の視点、経営改善の視点から、貴社の筋肉質な体質づくりをお手伝いします。

     【編集後記】

    イマーシブ・フォート東京は、2026年2月28日を以って営業終了となります。
    営業終了までに一度、足を運んでみてはいかがでしょうか? 決して安くはないチケット代ですが、「需要(高付加価値な没入体験)」と「供給(巨大な固定費)」のミスマッチが現場でどう起きているかを肌で感じることはなかなか勉強になるはずです。「なぜ、ここは維持できないのか?」その答えを現地で体感すること自体が、皆様の事業における「最高のケーススタディ(反面教師)」となるでしょう。

    👉 イマーシブ・フォート東京 公式サイト
    https://immersivefort.com/

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2026.1.1

多店舗展開の壁 ―成長の「壁」を突破する財務戦略とは?

  • あけましておめでとうございます。2026年、新たな年が始まりました。

    店舗ビジネス(フードビジネス)経営者様におかれては、「今年は店舗を増やしたい」「事業を拡大したい」と意気込んでいる方もいらっしゃることでしょう。
    ただ、最初に少し厳しい現実をお伝えします。飲食業界は参入障壁が低いため、毎年多くのお店が生まれますが、個人店においては新規開業の約7〜8割が3年以内に閉店に追い込まれています。さらに、10年以上生き残れる飲食店はわずか1割しかありません。

    なぜ、これほど生存率が低いのか?
    その主たる原因の一つに、店舗拡大に伴うお金の管理に失敗しているからです。飲食店経営には売上規模に応じて明確な「壁」が存在します。それは、「1億円の壁」「3億円の壁」「5億円の壁」「10億円の壁」です。経営者はそれぞれのフェーズで「経営の壁」を乗り超えて行かなければなりません。今日は、それぞれの壁の正体と、それを突破するための財務戦略について解説します。

    ▼家族経営期:1億円の壁(1〜3店舗)

    最初の壁です。この時期、多くの経営者は「勘」や「経験」で店を回しています。1〜3店舗までなら、経営者の目が届くため、勘に頼った判断でもかなりの確率で当たります。しかし、これを超えた瞬間、現場の状況把握が困難になり、判断ミスが急増します。

    【財務の処方箋】この段階で導入すべきは、以下の「数値管理」です。

    1. FLRコストを70%以内に抑える
      食材費(Food)と人件費(Labor)に加え、家賃(Rent)を含めた「FLRコスト」で管理してください。この3つの合計が売上の70%以内であれば、利益は約10%残ります。これが75%を超えると、利益は5%以下になり、経営は危険水域に入ります。
    2. 月次ではなく日次で見る
      「月末に締めてみないと利益がわからない」では遅すぎます。黒字企業の3社に1社は損益情報を毎日把握しています。日商を客数・客単価にまで分解し、毎日ジャッジする癖をつけてください。
    3. 人時売上高「4,000円」の壁
      人件費コントロールの指標として「人時売上高(売上÷総労働時間)」を使ってください。中小規模の飲食店なら、まず4,000円台を確保するのが合格ラインです。これを基準にシフトを組むことで、無駄な人件費を抑制できます。なお、飲食業界の平均は3,000円〜4,000円と言われていますが、サイゼリヤが掲げる目標はなんと「6,000円」です。

    ▼オーナー経営期:3億円〜5億円の壁(5〜10店舗)

    ここが最も危険な死の谷です。店舗数が増え一見順調に見えますが、実は「5店舗未満の会社」にこそ黒字倒産が多いというデータがあります。

    なぜでしょうか?店舗が増えれば、当然「当たらない店(赤字店舗)」も出てきがちです。ここで恐ろしいのが、赤字店舗が既存の黒字店舗の利益を食い潰すという構造です。さらに、その赤字店舗を作るために借りた多額の借入金の「返済」は待ってくれません。多くの経営者はそれまでの店舗運営で成功体験と自信があるため、赤字店舗の損切りがなかなか出来ずに、経営・資金繰りが手遅れになるパターンが多いのです。

    【財務の処方箋】この壁を越えるにはキャッシュフロー(資金繰り)の劇的な改善が必要です。

    1. 売上の現金回収を早める
      楽天ペイやSquareなどのモバイル決済を導入してください。これらは「最短翌日入金」に対応しています。クレジットカード売上が翌日に入れば、実質的に現金売上と同じになり、資金繰りの悩みは大幅に解消されます。手数料も3.24%〜と安価で、導入コストもほぼかかりません。
    2. 部門別会計(店舗別PL)の徹底
      これは本来であれば2店舗目から実施すべきことではありますが、この規模になると精度の甘さが即、致命傷になります。全社の数字を丸めて見る「どんぶり勘定」の要素が少しでも残っていれば、即刻排除してください。本部経費の配賦まで含め、どの店が真の稼ぎ頭で、どの店がお荷物なのか?店舗ごとの収支を可視化し、赤字店舗を早期発見・対処する仕組みを徹底することが不可欠です。
    3. 「予測資金繰り表」による未来管理
      これが最も重要です。 会計上の利益が出ていても、銀行返済でお金が減り、手元のキャッシュが尽きれば会社は倒産します(つまり、利益とキャッシュは別物なのです)。試算表(PL)は「過去の結果」ですが、経営に必要なのは「現在と未来のキャッシュ」です。特に借入金の返済はPL(損益計算書)には載りません。そのため、「利益は出ているのにお金がない」という現象が起きます。必ず「予測資金繰り表」を作成し、半年先、1年先のキャッシュ推移を可視化してください。「いついくら足りなくなるか」が分かれば、銀行交渉も出店計画も、すべて逆算して手を打つことができます。


    ▼組織化・企業化期:10億円の壁(15店舗以上)

    ここから先は、もはや「家業」ではなく「企業」です。経営者の勘は通用しません。計画性のない出店は、結局「一発屋」で終わります。ここから先は、「機能的組織のシステムパワー」が成功要因になります。

    【財務の処方箋】組織の壁以上に高い「資金調達の壁」を超える必要があります。

    1. 資金調達
      多くの飲食店は、創業時に信用保証協会付きの融資を利用します。しかし、この保証協会が保証してくれる枠には上限があります。一般的には無担保で8,000万円です。順調に出店を続け、年商3〜5億円くらいの段階になると、この8,000万円の枠を使い切ってしまうのです。すると、ある日突然、銀行から「もう枠がいっぱいで貸せません」と言われ、成長がストップします。ここから先へ進むには、保証協会に頼らず、銀行が直接リスクを背負って貸してくれる「プロパー融資」を引き出せる企業にならなければなりません。そのためには、単なる売上拡大ではなく、銀行が「この会社なら貸せる」と判断するだけの「自己資本の厚さ」と「緻密な経営計画」が必要です。 

    ▼まとめ

    私が好きな登山と同じで、高尾山(1店舗)に登る装備で、富士山(10億円の壁)を目指せば遭難します。規模が大きくなればなるほど、求められるのは「気合と根性」ではなく、「緻密な財務管理」と「組織の仕組み」です。

    あなたの会社は今、どのステージにいますか?そして、次の壁を越えるための準備はできていますか?
    「売上は増えたけど、なぜかお金が残らない」
    「プロパー融資を受けられる財務体質にしたい」
    「予測資金繰り表の作り方がわからない」
    そう感じている経営者様、ぜひ一度ご相談ください。今のステージに最適な財務戦略を一緒に描きましょう。

    本年も、皆様の事業の発展を「お金と仕組み」の両面からサポートしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
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2025.12.31
「安かろう悪かろう」は必ず立ち行かなくなる ―店舗数激減のさくら水産に学ぶ価格競争の末路

  • これまでのブログで、圧倒的なコスパと人時生産性の高さを誇るサイゼリヤを何度か取り上げてきましたが、同じくインパクトある低価格帯でチェーン展開していた「さくら水産」をふと思い出しました。

    さくら水産は、ご飯・味噌汁・卵などが食べ放題の500円ランチや、夜の激安海鮮メニューが有名でした。価格見合いで内装や料理が少しチープな印象でした。実は私も、何度か利用していました。注文・会計の度に「いやぁ、安いな~」と感嘆して利用していましたが、もう今ではめっきり見かけなくなりましたよね?

    それもそのはず。 最盛期には全国に約170店舗を展開していたさくら水産ですが、現在はわずか10店舗ほどにまで激減しています(※2025年現在、公式サイト掲載店舗数ベース)。

    サイゼリヤが今なお愛され繁盛し続ける一方で、なぜさくら水産は盛衰してしまったのか?その答えは、「安かろう悪かろう」のビジネスモデルが時代の変化で崩壊したからと考えます。

    ▼「仕入れ」の安さは「品質」を犠牲にする

    誤解を恐れずに言えば、当時のさくら水産の安さは「仕入れの博打」の上に成り立っていました。市場で売れ残った魚や規格外の食材を安く大量に仕入れることで、あの衝撃価格を実現していたのです。

    しかし、これには致命的な弱点があります。「品質が安定しない(=品質にバラつきがあり、結果として、安かろう悪かろう)」ことです。
    「今日は美味しいけど、今日はイマイチ」 お客様との関係性がこうした「妥協」で繋がっている店は脆いです。また、「安さ」という価格で惹きつけたお客は価格で別の店に浮気します。原材料費が高騰して「安さ」を維持できなくなった瞬間、その店に行く理由は消滅してしまうのです。

    ▼サイゼリヤは「初めに安売りありき」ではない

    一方で、サイゼリヤはなぜ強いのか? 彼らの強さは「工場の仕組み」だけではありません。サイゼリヤは「初めに安売りありきではない」ということです。「安い材料があるから安く売る」のではありません。

    「お客様にとっての『あるべき価格』はいくらか?」まずこれを設定し、その価格で最高の品質を出すために、血の滲むような改善を繰り返してコストを合わせにいくのです。
    看板メニューの「ミラノ風ドリア(300円)」は適当につけた値段ではありません。300円という「あるべき価格」を実現するために、自社工場を作り、食材を開発し、オペレーションを磨き上げた「企業努力の結晶」なのです。

    さらに、創業者の正垣泰彦会長は著書『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理』でこう書かれています。
    「料理の味の80%は食材の質で決まる。あとは、料理人の技能15%、店内保管状態5%である。」と。この言葉は、彼らがいかに「質」にこだわっているかの証明であるとともに、美味しい料理を出すために必要なのは何よりも良い食材(80%)を調達することが最重要であることを示しています。だからこそ、市場の余り物ではなく、種から開発する自社農場で高品質の食材を安く調達する道を選んだのです。

    以上より、サイゼリヤが今なお愛され繁盛し続ける一方で、なぜさくら水産は盛衰してしまったのか?という問いの答えとしては、安さを追求する「哲学」「アプローチ」、そして、安さの「質」が決定的に違ったからです。

    ▼財務視点:薄利多売は内部留保を作りづらい

    財務コンサルタントの視点で見ると、さくら水産の敗因の一つとして「キャッシュが残らない構造」であった点も指摘することが出来ます。
    原価率が高い「安かろう悪かろう」モデルはとにかく数を売らなければなりません(薄利多売)。しかし、利益率(粗利)が極端に低いため、手元に残る現金(営業キャッシュフロー)は微々たるものです。
    結果、会社を守るための「内部留保(ダムの水)」が溜まらず、コスト高やコロナ禍といった環境変化に耐えきれずに干上がってしまったのです。

    ▼さくら水産の「今」

    ちなみに、生き残ったごく少数のさくら水産が今、どうなっているかご存知でしょうか?実は彼らは2019年に、高級湯葉・豆腐料理で有名な「梅の花」グループの傘下に入りました。現在は「質」や「ブランド」を重視する親会社の下で、かつての激安居酒屋モデルからの脱却に必死です。

    近年は内装をきれいに改装し、質の高い定食を提供する「食堂業態」へシフトしたり、ランチ価格を見直して品質を上げたりと、「安かろう悪かろうからの卒業」を模索しています。

    かつて安さの象徴だった彼らが店舗を9割以上減らしてまで方針転換せざるを得なかった事実。これこそが、「安かろう悪かろう」は必ず立ち行かなくなる事実を物語っています。

    ▼まとめ

    スモールビジネスが目指すべき道、ここから学べる教訓はシンプルです。

    「『仕組み』なき安売りは、いずれ立ち行かなくなる」

    スモールビジネスにはサイゼリヤのような巨大な工場は作れませんし、バイイングパワーもありません。だからこそ、絶対に「安かろう悪かろう」の土俵に乗ってはいけません。
    2026年、生き残るために磨くべきは価格の安さではありません。多少高くても「この店のこれが食べたい」と言わせる「独自の価値(商品・サービス品質・体験)」です。自社の商品・サービスが「安さ」だけになっていないか、改めて問い直してみてください。

    ブログをお読みいただき、ありがとうございました。来たる2026年が、皆様にとって飛躍の年となりますように。よいお年をお迎えください。

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2025.12.30

借金は早く返すな ―会社も家計も繰り上げ返済すべきでない理由

  • 「借金は悪だ」「借りた金は一日でも早く返して身軽になりたい」

    多くの方がそう考えています。真面目な日本人らしい考えですが、財務コンサルタントとしては推奨しません。厳しいことを言いますが、その本質を見ていない盲目的な実直さが、あなたの会社や家計を悪化させる原因になり得ます。

    今日は、なぜ手元のお金を繰り上げ返済に回してはいけないのか?「法人」と「個人」の2つの視点から解説していきます。

    ▼①法人編:銀行は「雨の日」に傘を貸さない

    まず経営者の方へ。利益が出たからといって、銀行への借入金を一括返済しようとしていませんか?やめましょう。理由は2つあります。

    1.  「手元のキャッシュ」こそが最強の防具
      会社が潰れるのは赤字だからではありません。現金(キャッシュ)が尽きた時です。繰り上げ返済で手元の現金を減らすことは自ら防御力を捨てる行為に近いのです。もし明日、コロナのようなパンデミックが再来したら?主要取引先が倒産したら?その時、通帳に現金がなければ即アウトです。銀行は、業績が悪化した時にはお金を貸してくれません(雨の日に傘を取り上げるのが銀行の常です)。
    2. 銀行との「お付き合い」を切ってはいけない
      「無借金経営」という響きはいいですが、銀行との接点がなくなることを意味します。また、銀行にとっての良い客とは、一括で返す客ではなく「約束通りコンスタントに利息付きで返済し続けてくれる客」です。毎月返済実績を積み上げることで信用が生まれ、いざという時に「あの会社なら」と融資が降ります。完済して関係を切ってしまうと、またゼロからの審査になり、緊急時の資金調達が遅れるのです。

    ▼金利は安い保険料である

    なお、資金が必要になったら、その時借りればいいや。そう思っているなら経営者もいるかもしれませんが、銀行がお金を貸したいのは、「資金繰りに困っている会社」ではなく「資金繰りに余裕あり、きちんと返済してくれる会社」です。本当に資金が必要になった(業績が悪化した)タイミングで駆け込んでも、銀行は貸してくれません。
    だからこそ、「余裕のあるうちに借りれるだけ借りて手元キャッシュを積んでおく」。これが経営のリスクを減らす最強の防御策です。

     「でも、余分に借りると金利がもったいない…」 そう思うかもしれません。
    では、冷静に計算してみましょう。仮に1,000万円を金利2%で借りたとします。年間利息は20万円。月々に換算すると最大で約16,000円です。たった月16,000円を払うだけで手元に1,000万円という最強の盾を持っておける。万が一の事態に備える保険料として考えれば、これほど安いものはないのではないでしょうか?

    また、借りた資金を使わずに持っている限り、返済はそこから行えばいいため、資金繰りは痛みません。手元キャッシュが減ってきたら、返済実績をもとに再度「折り返し融資」を受ければいいのです。

    ▼②個人編:住宅ローンの繰り上げ返済は好条件融資の放棄

    次に個人の方へ。冬のボーナスが入って「よし、住宅ローンを繰り上げ返済して期間を短縮しよう!」と思っていませんか?
    それも財務的にはおすすめしません。なぜなら、昨今金利は上昇傾向にありますが、それでも変動金利なら0.5%〜0.8%程度と、資産運用の期待リターンに比べれば圧倒的な低金利だからです。例えば、手元に300万円あるとします。

    • ●A:繰り上げ返済する → 0.5%の金利負担が減るだけ(効果は微々たるもの)。手元の現金はゼロになる。
    • ●B:手元に残して運用する → S&P500やオールカントリーなどのインデックス投資に回せば、長期的には年利5%程度のリターンが期待できる。

    「0.5%の借金を返すために、5%の利益を捨てる」これが繰り上げ返済の正体です。低金利でお金を借りられている権利(レバレッジ)を最大限活かし、手元資金はより利回りの高い場所で働かせる。これが賢い資産形成です。
    また、会社同様、リストラや病気になった時、家の壁を削って食べることはできません。繰り上げ返済して現金を失うより、手元に流動性の高いキャッシュを持っておく方が人生のリスクヘッジになります。

    ▼注意点

    ただし、手元にキャッシュを持つ戦略には「副作用」もあります。
    通帳に多くのキャッシュがあるとつい気が緩んで、不要な経費を使ったり、無駄な設備投資をしたりしがちです。また、「借りられるだけ借りろ」と言っても、赤字の穴埋め(補填)のために漫然と借り続け、根本的な収支改善を先送りにしては、単に傷口を広げるだけです。
    「借りたお金は使わずに守る」。この規律を持てる経営者だけが借金を味方にできます。

    借入の限界を知る指標「債務償還年数」では、具体的にどこまでなら借りていいのか?借入が過剰になっていないかを測る「債務償還年数」という重要な指標をご紹介します。これは「借入金を会社のキャッシュフロー(利益+減価償却費)だけで返済するのに何年かかるか」を表すものです。

    • ●10年以内:【適正】稼ぐ力に対して適正な借入額です。優秀な財務状態です。
    • ●10年〜15年:【注意】まだ正常の範囲内ですが若干借りすぎの傾向があります。
    • ●15年超:【危険】黄信号、あるいは赤信号です。

    銀行からの借入を検討する際、もしくは現状の借入が多い場合などは、この「10年以内」をキープすることを目標にしてください。この範囲内であれば、銀行も喜んで「傘」を貸し続けてくれます。

    ▼まとめ:借金は「悪」ではなく「道具」

    「借金=悪」という感情論を捨ててください。財務の世界では、借金は時間を買い、レバレッジをかけるための「道具」に過ぎません。

    法人:手元キャッシュを厚くし、銀行との信頼関係(返済実績)を作る。個人:低金利のメリットを活かし、手元資金を投資で増やす。2026年、お金に困らない経営・家計を目指すなら、借りた金はゆっくり返す。これが鉄則です。
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2025.12.29
おいしくて売れているサイゼリヤから多くを学ぼう(2)

  • 12月18日のブログで、私が大好きな「サイゼリヤ」が圧倒的な安さを実現しつつ、なぜしっかりと儲かっているのか?その「安くて儲かる秘訣」を3つの視点(製造直販、キッチンの極小化、理系思考による「科学的経営」)から解説しました。

    しかし、一回のブログではサイゼリヤの凄さは語り尽くせません。
    今回は続編として、サイゼリヤの強みのコア源泉とも言える、「科学的経営」と「徹底した現実主義」について深掘りします。具体的には、以下3つのポイント(人時生産性、メニュー・食材の絞り込み、ストアコンパリソン)で解説していきますね。

    ▼① 驚異の目標値「人時生産性 6,000円」

    サイゼリヤが最も重視している指標の一つに「人時生産性」があります。これは「従業員1人が1時間あたりいくらの粗利を稼いだか」を示す数値で、飲食業において重要視されている指標です。
    飲食業界の平均は3,000円〜4,000円と言われていますが、サイゼリヤが掲げる目標はなんと「6,000円」。これは飲食業の枠を超え、製造業などの他産業並みの待遇を従業員に提供するためです。これを実現するために、彼らは精神論ではなく「科学」を使います。例えば、掃除機のかけ方一つとっても、「床の木目に対して45度の角度」でかけると決まっています。それが最も短時間でゴミを吸い取れると検証されているからです。

    また、生産性の低い店と高い店を比較し、良い点を真似て無駄を減らすことで、標準化とともに高い人時生産性に繋げています。

    ▼② 「絞り込む」からこそ「強いメニュー」が生まれる

    多くの飲食店は、売上を上げようとしてメニュー数を増やしがちです。しかし、サイゼリヤの戦略は真逆です。正垣会長は「メニュー数を絞ることが最も効果的なコスト削減」と説きます。
    メニューを絞り込むからこそ、食材ロスが減り、作業効率が上がり、一つひとつの商品にお金をかけられます。その結果、生まれたのが「ミラノ風ドリア(300円)」という怪物級の「強いメニュー」です。

    また、サイゼリヤのメニューを「使用食材」という観点で分解してみると、その効率化の凄みがより鮮明になります。例えば、人気の「野菜ペースト(ディアボラ風ソース)」。これは、私が大好きな「若鶏のディアボラ風」だけでなく、「きのこと野菜のピザ」や「鶏の香味ソース」にも使われています。「コーン」もそうです。ピザだけでなく、「ミックスグリル」などのグリル料理の付け合わせにも共通して使われています。

    つまり、使われている食材が特定のメニューのためだけに存在しているのではなく、複数のメニューにとって必要となる食材として厳選されているのです。
    メニュー数は絞り込まれていますが、食材の活用(クロスユース)は縦横無尽に行われている。これにより、食材という観点でも厳選・効率化されており、無駄がないため、あの低コストを実現出来ていると私は考えます。

    ▼③ 競合から学ぶ(ストアコンパリゾン)

    「自分たちのやり方が正しい」と思い込む傲慢さをサイゼリヤは最も嫌います。そこで行われているのが「ストアコンパリゾン(競合店視察)」です。

    正垣会長は著書で「一番のお勧めはマクドナルド」と明言しています。マクドナルドはご存じのとおり世界で最も成功しているチェーンストア・標準化の極みであり、そこから学ぼうということです。業績の良い店(他社)を徹底的に観察し、「商品」「設備」「作業」「立地」の4分野で比較検討するのです。

    なぜあの店は速いのか?なぜあの店は居心地が良いのか?
    これらを「すごいな」で終わらせず、「なぜ違うのか?自店に取り入れるにはどうすればいいか?」をチームで議論し、自社の仕組みに組み込んでいく。プライドを捨てて勝っている相手から貪欲に学ぶ姿勢。これこそが成長の源泉です。

    ▼まとめ

    「うちはサイゼリヤのような大企業じゃないから...」そう思うかもしれません。しかし、今回紹介した3つの視点は、規模に関係なく実践できます。

    • ●人時生産性:自社の社員が1時間で稼ぐ粗利を把握していますか?
    • ●絞り込み:あれもこれもと手を広げすぎて、商品の力が弱まっていませんか?
    • ●ストアコンパリソン:優れたライバル企業を見て、「自社との違い」を分析していますか?

    サイゼリヤの強さは、ミラノ風ドリアに代表されるメニューの安さにあるのではありません。「現実(データ)を直視し、無駄を削ぎ落とし続ける『科学的な姿勢』」にあります。
    皆さんもサイゼリヤに行ったら、ぜひメニューの構成や店員さんの動きを見てみてください。そこには、あなたの会社の生産性を上げるヒントが隠されているはずです。

    ちなみに、最後にはなりますが、実は、私、サイゼリヤで働いた経験があるんです!(また別のブログで書ければと)

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2025.12.27
「節税」で陥る負のサイクル ―役員報酬4千万円の裏側

  • 利益が出ると税金(法人税)で持っていかれると言って、やれ経費を使って、やれ役員報酬を上げて、利益を圧縮していませんか?その「安易な節税思考」が、会社の寿命を縮めることになります。

    節税という「部分」にフォーカスしすぎると、会社全体の財務・資金繰りという「全体の歯車」が狂い出します。今日は、私が実際に目の当たりにした、とある建設関連会社の「節税」によって生み出された「負のサイクル」についてお話しします。

    ▼役員報酬4,000万円の裏にあった異常事態

    その会社は、年配の顧問税理士のアドバイスに従い、法人税を圧縮するために社長の役員報酬を「4,000万円」に設定していました。

    「すごい!高給取り!」と思いますか?
    実は、この会社のキャッシュは枯渇しており、いつ資金ショートしてもおかしくない危険水準でした(会社の短期的な支払い能力を示す「当座比率(当座資産÷流動負債×100%)」が1割強しかなかったのです)

    それにも関わらず、社長の役員報酬が「4,000万円」。さらに、貸借対照表(B/S)を見て、私は目を疑いました。「役員借入金(社長から会社への貸付)」が、前期から最新期にかけて、約3,000万円超も増えていたのです。

    これが何を意味するか分かりますか?社長は4,000万円の報酬をもらっておきながら、税金(所得税)で多くを持っていかれた手取り(可処分所得)以上の額を会社に貸し付けて(戻して)、資金繰りを回していたということです。

    ▼なぜ、こんな「負のサイクル」に陥るのか?

    社長は節税をしたつもりでした。しかし、現実に起きていたのは以下の事態です。

    • ●法人税は減ったが資金繰りは悪化した:無理に報酬を多額計上したため、会社からキャッシュが流出し、運転資金が枯渇。
    • ●個人の税金が激増した:ここが盲点です。日本の所得税は累進課税です。4,000万円の報酬に対する所得税・住民税・社会保険料は莫大(約1,500万円以上)です。法人税率よりもはるかに高い税率を、個人で負担することになったのです。
    • ●結局、お金が足りない:高額な個人の税金を払った残りを会社に戻しても、以前より資金は目減りしています。

    「節税しようとして役員報酬を上げ、個人の税金を高く払い、会社のお金がなくなり、個人資産を貸し付ける」これが、節税にフォーカスしすぎて歯車が狂った末路です。

    ▼役員報酬は低いほうが資金繰りは良くなる

    では、役員報酬はどうすれば設定すればよかったのか?答えはシンプルです。

    • ●法人と個人の税率バランスを見極める
    • ●会社の規模に応じた適正額まで報酬を下げる

    報酬を下げれば、当然、会社の利益(法人税)は増えます。しかし、個人の高い所得税を払うより、会社で法人税を払った方が、トータルのキャッシュアウトは少なくて済みます。何より会社に現金が残るので、銀行評価も上がり、資金繰りは劇的に改善します。

    「でも報酬を下げたら生活できない…個人の手取りも増やしたい」そう思いますか?
    単に給料を上げて黒字を消すというのは、最も安易で芸のない手法です。以前のブログでご紹介した繰延型節税(小規模企業共済等)の他、出張旅費規程(非課税で個人に現金を移す)、社宅制度の活用、非常勤取締役の設定など、取りうる策は他に存在します。

    ▼「もっと早く相談していれば...」社長の決断

    私は社長にこの事実とともに役員報酬の適正化(減額)と適切な節税に取り組むよう提案しました。

    提案を受けた社長は、しばらく絶句した後、「すぐに顧問税理士に確認を取ります。納得いく説明がなければ、顧問契約の見直しも検討します」とコメントされていました。

    これは決して他人事ではありません。税理士は「税金計算のプロ」ですが、「資金繰りのプロ」ではないケースが多いのです。すべてを税理士任せにすることは、今日で終わりにしましょう。

    ▼まとめ

    「節税=経費(報酬)を増やすこと」この安易な考えに陥ると、財務・資金繰りの歯車は確実に狂い始めます。
    あなたの会社は節税のために資金繰りを犠牲にしていませんか?「役員借入金」が膨らんでいるなら、それはすでに「負のサイクル」に入っている危険信号です。
    「まあ、そのうち考えよう」と先送りにすれば、また1年、無駄な税金を払い続け、会社の資金を枯渇させることになります。その1年の遅れが会社の寿命を縮めます。

    狂った歯車を戻し、お金が残る財務体質に変えたい方は、ぜひ一度ご相談ください(60分無料相談対応中)。決算書診断・融資診断もおすすめです。
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2025.12.26
コンビニ「プライチ」に隠された資金繰りのカラクリとは?

  • 昨日、コンビニでコーラを買いました(私コーラ好きなんです)。価格は170円ほど。
    スーパーに行けば100円程度で買えるやつです。普段なら絶対にスルーする価格ですが、その時は迷わずレジに持っていきました。なぜなら、プライスの横に、とある表記があったからです。

    「1個買うと、もう1個もらえる(プライチ)」

     「実質1本85円なら、スーパーより安いじゃないか!」そう計算して購入したのですが、店を出てしばらくして店員さんからレシートもらい忘れたことに気付きました。結局、スーパーより70円も高い定価のコーラを買っただけ(泣)。

    悔しいですが、この時ふと思いました。このキャンペーンに「うっかり」乗せられてしまうものの、「うっかり」レシート券をもらい忘れたり、次週「うっかり」交換を忘れてしまう。この「うっかり」も、企業にとっては計算済みであると。

    今回は、この「プライチ」キャンペーンの裏側にある、マーケティングを超えた巧妙な財務戦略について解説します。

    ▼単なる集客策ではない資金繰りのカラクリ

    このキャンペーンは、消費者にとってはお得ですし、お店にとっても、行動経済学を組み入れた巧妙なマーケティング施策です。お店にとっては、消費者の再来店を誘引し、且つ、「ついで買い」を狙えるからです。 

    しかし、財務コンサルタントの私が着目するのはそこではありません。
    このキャンペーンの背後に存在する財務的メリットです。具体的には「キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)の短縮」と「負債の利益化」です。その財務効果はなかなかの威力があります!

    ▼財務視点①:未来の商品を現金前受けしている

    まず、CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)とは、仕入代金を支払ってから売上を回収するまでの日数を示す指標です。この日数が短ければ短いほど、資金繰りは楽になります。実は、AmazonやAppleといった世界的企業は、このCCCがなんとマイナスであることで有名です。つまり、仕入れ代金を支払う前にお客様から現金を回収しているのです。

    今回のコンビニキャンペーンもこれと同じ現象を起こしています。この仕組みの凄いところは「商品の引き渡し(来週)」よりも先に「現金(今日)」が入ってくる点です。

    • ●Day 1(今日):顧客から代金を受け取る(キャッシュイン)
    • ●Day 7(来週):プライチの商品を渡す(在庫の減少)
    • ●Day 30〜(月末):メーカーへの支払い(キャッシュアウト)

    商品は来週渡すのに、お金は今日入る。財務的に見れば、「商品を引き渡す義務(負債)」を負う代わりに、お客様から無利子で資金調達をしているのと同じです。手元のキャッシュが増え、資金繰りが良くなる。ただの安売りではなく、世界的テック企業と同じ「CCCマイナス」の状態を作り出している点が、この戦略の凄みなのです。

    ▼財務視点②:退蔵益という名の濡れ手で粟

    そして、昨日の私のような「引換券を使い忘れる人・もらい忘れる人」の存在です。

    会計上、発行した引換券(権利)は、将来商品を渡す義務があるため「引当金(負債)」として計上されます。しかし、レシートを受け取らなかったり、期限が切れたりした瞬間、この義務は消滅します。商品を渡さなくていい。仕入れコストもかからない。でも、最初の売上(定価のコーラ代)は確定している。

    つまり、負債がそのまま利益に変わる(戻入益)のです。プリペイドカードの使い残しと同様、この「ブレッケージ(失効益)」は、原価率ゼロの純利益として企業のB/Sを密かに改善させます。

    ▼財務視点③:他人資本でのレバレッジ

    さらに極めつけは、この無料商品の原資です。なんと多くの場合、コンビニ側は全額負担していません(!)。販促費として「メーカー持ち」であるケースが多いのです(!!)。

    コンビニ側のPL(損益計算書)を見てみましょう。

    • ●売上:通常通り立つ(しかも「ついで買い」も誘発)
    • ●原価:メーカー補填により圧縮
    • ●在庫リスク:キャンペーン商品は買取条件が緩和されていることもあり

    つまり、コンビニは他人の金(メーカーの販促費)を使って、自社の集客と資金繰りを同時に改善させているのです。

    ▼まとめ

    「1個無料なんて、うちは体力がないから無理だ」そう考える経営者は、表面の「値引き」しか見ていません。この事例から学ぶべきは以下の視点です。

    • ●マーケティング視点:再来店を促す施策を展開出来ているか?
    • ●財務視点:いかに早くキャッシュを受け取るか?(CCCを改善するか?)

    売れるだけでなく資金が早く回る。このスピード感こそが強い財務体質を作ります。
    コンビニは「100円のコーラ」一つでさえ、ここまで緻密に計算して資金を回しています。
    ひるがえって、あなたの会社はどうでしょうか?「PL(売上・利益)」ばかり見て、「キャッシュ(資金繰り)」のスピードがおろそかになっていませんか?規模は関係ありません。中小企業でも前受金や支払いサイトの調整による「CCCの短縮」は可能です。

    「うちはどうすれば資金繰りが良くなる?」と気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社のビジネスモデルに眠る資金繰りの改善点を分析し、改善提案します。

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2025.12.24

本業以上に「投資」で稼ぐコーエーテクモから学ぶ―1200億円を投資する襟川恵子会長とは?

  • 「信長の野望」や「三國志」。皆さんご存知のゲームソフト会社、コーエーテクモホールディングス。実はこの会社、冗談混じりにこんな言われ方をされることがあります。「投資会社がゲームを作っている」と。笑

    実は、コーエーテクモは主力のゲーム事業のほか、投資で莫大な利益を得ているのです。

    今回は、ヒット作が出るかどうかの水物(みずもの)ビジネスにいながら、なぜこの会社が投資で稼ぎまくって、盤石の無借金経営を続けているのか?その裏にいる、一人の「投資の天才」の存在と経営者が学ぶべき「財務の鉄則」についてお話しします。
    ちなみに私、この会社の株を持っています(笑)

    ▼本業の利益を「副業」が超えてしまった

    ある年のコーエーテクモの決算を見て、アナリストたちは度肝を抜かれました。2024年3月期の数字です(※)

    • ●営業利益(本業の儲け):284億円
    • ●営業外収益(投資などの儲け):357億円

    なんと全社員が必死で作ったゲームの利益を「資産運用益」が上回ってしまったのです。

    しかも、その1,200億円規模と言われる運用を取り仕切っているのは、プロのファンドマネージャーではありません。創業者の妻であり、現名誉会長の襟川恵子氏(75歳)ただ一人です。彼女はこう言っています。「これまで会社に株取引専門の部署は設けていませんし、指南役をつけたことも一度もありません」と。

    彼女の投資歴は長く、なんと高校生の頃から(!)。祖母の手ほどきを受けて株式投資を始めたという、筋金入りの投資家です(!!)。彼女は、朝起きるとまず世界中のニュースと株価をチェックし、すべて自らの判断と手でトレードを行っています。誰かに丸投げするのではなく、経営者自身がリスクを判断し、決断する。その手腕は、ソフトバンクグループの孫正義氏が「頭が上がらない」と認め、同社の社外取締役に招聘したほど。まさに「女帝」の名にふさわしい。。

    ※最新データ追記(2025年3月期):直近の2025年3月期決算では、本業が絶好調(営業利益321億円)だったため逆転こそしませんでしたが、それでも投資だけで約179億円を稼ぎ出しています。普通の上場企業ならこれだけでトップクラスの利益水準です。もはや「本業が2つある」と言っても過言ではありませんね。

    ▼襟川会長が投資する理由

    「ゲーム会社なんだから、株なんてやってないでゲーム開発に金を使え」
    かつてはそんな批判もあったようですが、彼女の哲学は創業以来、一ミリもブレていません。それは「社員を路頭に迷わせないため」。
    実はコーエーテクモは、元々ゲーム会社ではありませんでした。栃木県の「染料・工業薬品問屋」でした。 斜陽産業だった家業から、ヒット作が出るかどうかのギャンブル性の高いゲーム業界へ転身した過去があるのです。

    また、彼女は幼少期に父親を亡くし、経済的に苦労した原体験があります。そして創業期、銀行に融資を頼んでも「ゲームなんて遊びでしょ?」と門前払いされ、悔し涙を流した経験もあります。「ヒットが出なければ倒産」というゲーム業界の博打性を誰よりも知る彼女は、こう誓ったようです。「本業(ゲーム)が数年コケ続けても、社員の給料を払い続けられるだけの『別の財布(財務収益)』を持たなければならない」

    つまり、彼女の投資はギャンブルではありません。夫であり、天才クリエイターであるシブサワ・コウ(襟川陽一会長)に好きなゲーム作りに専念してもらうための、最強の防衛策(ヘッジ)なのです。

    ▼経営者が学ぶべき2つの教訓

    今回のブログを通じて、私がお伝えしたいことは「明日から株のトレードをしましょう」ということではありません(もちろん会社に余剰資金があれば、眠らせておくのではなく、投資運用に回してキャッシュを生むべきと考えますが、そもそも事業を行っている法人の場合、事業に再投資すべきです)。

    コーエーテクモの事例から学ぶべきポイントは以下の2つです。

    ①「本業一本足打法」の脆さを知る
    飲食店も同様です。コロナのようなパンデミックや、食材高騰が起きれば、本業の利益は一瞬で吹き飛びます。その時、あなたを助けてくれるのは「本業以外の収益(不動産収入や配当益)」や「分厚い内部留保」です。「今の店が儲かっているから大丈夫」とあぐらをかいてはいけません。

    ② キャッシュこそが「自由」を作る
    コーエーテクモがなぜ、流行に流されず、作りたいゲームを作れるのか?なぜ、1本1万円を超えるような強気な価格設定ができるのか?それはお金があるからです。銀行に頭を下げる必要も、出資者の顔色を伺う必要もない。

    「財務の独立」こそが、「経営の自由」を保証するのです。
    実は、私自身も、上記のリスクヘッジを複数行っています。現在は、資産運用益で生活費の半分以上を賄うサイドFIREを実現し、本業の経営・財務コンサルティング業だけでなく、無人の店舗ビジネスを展開しています。複数の収入の柱(財布)を持っているのです。
    だから、万が一1つの事業がうまくいかなかったり、ある顧客との契約が終わっても、(残念とは感じますが)ダメージはさほどなく、むしろ、「ジムや山に行く余暇時間が増えた」と前向きに捉えることができます。

    ▼まとめ

    「経営とは、本業で良い商品を作ることだ」それは半分正解で、半分間違いです。

    稼いだ金をどう残し、どう増やし、いかに会社を潰れないようにするか?この財務視点が欠けていれば、どんなに良い商品を作っても、一寸先は闇です。
    彼女のように1,200億円を作るのは難しくても、「銀行と対等に渡り合えるだけの自己資本」や「不測の事態に耐えうる手元流動性」を持つことは可能です。

    あなたの会社のバランスシート(B/S)は、社員を守れる形になっていますか?「攻めの売上」だけでなく、「守りの財務」を固めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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2025.12.23
飲食店の最新倒産動向―日本料理店の倒産が53%増の衝撃!

  • 帝国データバンクが今年の夏に発表した『「飲食店」の倒産動向(2025年上半期)』には、なかなか衝撃的な記載が、しかも複数ありました。
    その内容とは、飲食店の倒産が上半期で過去最多を更新するとともに、「日本料理店」の倒産急増という内容です。

    今回は、この最新データを紐解きながら、なぜ今、日本料理店が危機に瀕しているのか?その考察と対策についてお話しします。

    ▼止まらない倒産ドミノ、年間900件ペースへ

    まず全体像です。 2025年1月〜6月の半年間で、飲食店の倒産件数は458件に達しました。これは前年同期(435件)を上回り、上半期としては統計開始以来「過去最多」です。

    さらに恐ろしいのは、このペースで進めば、年間で初めて900件台に乗る可能性があるということです。年ベースで見ても、これで3年連続の増加となります。

    ▼【考察】「点滴」が外れ、延命できなくなった飲食店が多く存在

    なぜ、コロナ禍が明けて客足が戻りつつある今、これほど倒産が増えているのでしょうか? その答えは、コロナ禍における「強力な点滴(休業補償金・協力金)」の効果とその消失にあります。

    コロナ禍において、多くの飲食店は国からの手厚い助成金や無利子無担保融資という「点滴」によって生かされてきました。極端な話、お客様が来なくても、この点滴さえ打っていれば会社は息をすることができました。

    しかし今、その点滴は完全に外されました。それだけではありません。点滴が外れた病み上がりの体に、「過去最高の物価高(食材・光熱費)」と「人件費高騰」という嵐が吹き付けているのが現況です。基礎体力が戻っていないお店が、自力でこの嵐を耐え抜くことができず、力尽きている──これが、過去最多倒産の正体です。

    ▼「日本料理店」の倒産が53%激増という衝撃!

    今回のデータで最も衝撃的だったのが、日本料理店の倒産急増です。その数は46件となり、前年同期(30件)からなんと53.3%(1.5倍以上)も激増し、過去最多となりました。

    なぜ、高単価なはずの日本料理店が?それは、この業態特有の重たい固定費が仇となっているからと推測できます。

    • ●職人の人件費:高い技術を持つ板前さんを維持するための人件費は削れません。
    • ●場所と内装:接待に使われるような立地や店構えを維持する家賃も高額です。
    • ●需要の消滅:頼みの綱であった団体客や企業の接待需要は、節約志向や行動様式の変化で縮小したまま戻っていません。

    点滴があった頃は、これらの高い固定費もカバーできていました。しかし、団体客の減少や、接待需要の縮小などが影響し、高い固定費がそのまま経営を圧迫し、出血多量で倒産に至っているのです。
    スモールビジネスが、薄利多売ではなく、高付加価値化していくことは望ましい方向と言えますが、とは言え、販管費、特に固定費増を伴う高付加価値化は売上が想定通りに伸びなかった瞬間に、経営を一気に不安定化させる危うさを秘めていることを強く意識すべきです。

    ▼最後に

    記事にはこういう記載で締めくくられていました。

     「夫婦で1店舗を経営」といった小規模な事業者でも、近時の食材・光熱費の高騰で収益確保が難しくなっているなか、スタッフ数名を抱え、人材確保・維持のために賃上げを余儀なくされる中小クラスの飲食店を中心に倒産や廃業の増加は避けられないとみられる。

    なかなか怖い記載ですね?
    飲食業界は他の業界と比べて参入障壁が低いため、毎年多くの飲食店が生まれています。しかし、それだけお金に対して無頓着なまま開業してしまうケースが後を絶たないのも事実です。 このデータ・記載は、今すぐ経営改善、財務・資金繰り改善をしなければ手遅れになる倒産予備軍が多く存在していることを示しています。過去最多の倒産件数の中には、「資金繰り対策」を後回しにし、「値上げ」が不発に終わり、茹でガエルになってしまったケースが多く含まれているはずです。

    今こそ、財務・資金繰りを見直すチャンスです。激動の今を生き残るために、あなたの会社の倒産確率を下げる具体的な手を一緒に打ちましょう。

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2025.12.21

「値上げ=悪」ではない、店舗ビジネス(BtoC)の価格転嫁法

  • どんなビジネスでも、目標利益を達成するために考える要素は以下の3つに集約されます。

    ①売上を上げる
    ②原価を下げる
    ③経費(販管費)を下げる

    この中で、多くの経営者が着目するのが「①売上を上げる」ことだと思います。もちろん、売上増の取組みは重要ですが、ここには落とし穴もあります。多くの店舗ビジネスで多い失敗として、売上が上がっても同様に販管費も増えていくため、結果として利益は変わらないというパターン。これでは、お店はただ忙しくなるだけで、会社の利益は増えず、資金繰りも苦しいままです。薄利多売ビジネスが陥るジレンマと言えます。

    そこで、最も効果的な手段となるのが、単価アップによる売上増加、すなわち「価格転嫁(値上げ)」です。世の中はまさに、電気代、ガス代、食材費等の物価高、そして過去最高水準の人件費高騰。多くの経営者が「値上げをしたらお客様がいなくなる」という恐怖と戦っていますが、私は声高に言いたいです。今の経済環境において、適切な値上げを行わないことは、現状維持ではありません。自分の首を自分で締め、廃業・倒産の道に進んでいるのと同じです。

    ピンチとは同時にチャンスでもあり、今はまさに価格を上げるチャンス(好機)なのです。今回のブログでは、最新の政府データやBtoBとの比較を交えながら、店舗ビジネス(飲食店他)が生き残るための「賢い価格転嫁の戦術」を解説していきます。 

    ▼みんな苦しんでいるが半数は失敗している

    まずは、客観的なデータを見てみましょう。中小企業庁が実施した「価格交渉推進月間(2025年9月)フォローアップ調査」の結果です。

    ●価格転嫁の交渉を行った企業:89.4%
    ●実際に価格転嫁できた割合(転嫁率):53.5%

    この数字が意味することは明白です。9割近い企業が価格転嫁交渉に動いているが、実際にコスト増を吸収できているのは半分程度という厳しい現実です。

    しかし、あきらめる必要はありません。風向きは明らかに変わっています。
    政府としても、公正取引委員会による「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(2023年11月)」の策定や、「賃上げ促進税制」の拡充など、国を挙げて「正当な値上げ(価格転嫁)」を推奨しています。「値上げは悪」ではなく、適正に価格転嫁することこそが「あるべき姿」という空気が確実に醸成されつつあります。 

    ▼なぜ飲食店の値上げは難しいのか?

    「政府が推奨していると言っても、ウチのような飲食店は事情が違う!」そう反論したくなる気持ちも、よく分かります。製造業などのBtoBと、飲食店などのBtoCでは、価格転嫁の難易度がなかなか違うからです。

    ①交渉の余地がない
    BtoBなら、取引先とテーブルに着き、「原価がこれだけ上がったので価格を見直させてください」と交渉できます。しかし、飲食店にお客様との交渉テーブルはありません。何も言わずに、二度と来なくなる(サイレント・クレーマー化)だけです。この「無言の拒絶」への恐怖が、経営者を値上げから遠ざけます。

    ②政府の保護がない
    BtoBには「下請法」などの法律があり、不当な買いたたきから守ってくれる仕組みがありますが、飲食店のお客様に「値上げを受け入れなさい」と強制する法律はありません。

    ③競合が多く広い
    例えばラーメン店のライバルは、近隣のラーメン店だけではありません。コンビニのハイクオリティな冷凍麺、スーパーの惣菜、牛丼チェーン…。お客様の胃袋と財布を巡る戦いは、業種の垣根を超えて繰り広げられています。

    このようにBtoCにおける価格転嫁は一筋縄ではいきません。だからこそ、闇雲な値上げではなく、緻密な戦略が必要なのです。

    ▼値上げは「利益」に直結する

    戦略の話の前に、一つだけ財務的なメリットをお伝えします。ここが腹落ちすれば、値上げへの恐怖が少し和らぐはずです。

    仮に、メニュー価格を10%上げたとしましょう。この時、家賃や広告宣伝費、正社員の給料といった販管費(固定費)はどうなるでしょうか? 基本的には「そのまま(変わらない)」、もしくは、客数が減ったことでその分人件費や外注費などの販管費を一部圧縮することが出来たら「下がる」こともあります。

    つまり、値上げで増えた売上は少なくともそのまま利益になるのです。薄利多売で疲弊するより、適正価格でしっかり利益を出し、それをスタッフの給与やサービスの質に還元する。 これこそが、飲食店が目指すべき健全なサイクルの姿です。

    ▼BtoCにおける賢い価格転嫁:3つの打ち手

    では、交渉テーブルのない飲食店はどうやって価格を転嫁すればいいのでしょうか?お客様に逃げられないための、有効な3つの手段をご紹介します。

    ①ステルス・ステップで少しずつ上げる
    一気に200円上げるのは危険ですが、半年ごとに30円ずつ上げるなら、お客様の抵抗感は薄れます。例として、長崎ちゃんぽんの「リンガーハット」を見てみましょう。かつて「長崎ちゃんぽん」は399円(2006年頃)という破格の安さでした。そこから、740円、750円、800円、820円(現在)と、時間をかけて段階的に価格改定を行ってきました。現在は2006年と比較し倍以上の価格になっていますが、それでも顧客に支持され続けています。これは一気の改定を避け、小刻みに適正化を進めた結果です。

    ② 常連客に相談する
    これは個人店ならではの強みです。信頼できる常連さん(ファン)に相談してみるのです。「実は原価がキツくて…。味を守るために少し値段を上げようと思うんだけど、どう思う?」 ファンである彼らから「潰れるくらいなら上げてよ!味さえ落ちなきゃ通うから」と言ってもらえばベストですが、そうでなくても率直な意見がもらえるはずです。スモールビジネスにおいて常連客はリトマス試験紙として活用できます(活用しましょう)。

    ③ 中身を変えて比較させない
    単純に数字(価格)だけを書き換えるのは悪手です。「価格転嫁」ではなく「価値転嫁」を行いましょう。例)ハンバーグの付け合わせを変えて彩りを良くする、器を高級感のあるものに刷新する、メニュー名を変更し、こだわりを強調する。「以前と同じ商品なのに高い」と思われるから不満が出るのです。「リニューアルして良くなった(ついでに値段も変わった)」と認識させれば、それは「値上げ」ではなく「進化」になります。

    ▼経営者は一人で悩まないでください

    「値上げ」は単なる数字の変更ではありません。経営の神様である松下幸之助は「値付けこそ経営」と言いました。そもそものお話とはなりますが、その値付け・値上げにおいては、顧客から見た「価値」を改めて考え、再設定することが必要です。そもそも価値がないのであれば、顧客にとってその値上げは受け入れられない可能性があるという点には、十分注意しなければなりません。

    「理屈は分かったけれど、自社の場合はいくら上げればいいのか分からない」
    「お客様に納得してもらうための説明資料や、根拠となるデータが欲しい」

    そう思われた方は、ぜひ私のような、財務・資金繰りに強い中小企業診断士にご相談ください。客観的なデータに基づいたシミュレーションを作成し、自信を持って価格改定に踏み切れるよう、あなたの背中を強力に後押しします。

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2025.12.19
飲食店の資金繰りを改善する10の打ち手―過去最多の飲食店倒産から身を守る

  • 飲食業界は現金商売と言われますが、実は今、物価高に加え、キャッシュレス手数料と入金サイクルのズレ(遅れ)によって、資金繰りが厳しい企業が増えています。

    事実、飲食店の倒産は危機的な水準で増え続けています。帝国データバンクの調査によれば、2025年1〜6月の飲食店の倒産件数は458件となり、前年同期(435件)を上回り過去最多(統計開始以降) を記録しました(倒産件数としては2000年以降のデータベースで最多)。このペースなら 年間で初めて900件台に乗る可能性があるとされています。また、年ベースで3年連続で倒産件数が増加している状況です。

    もはや、「美味しいものを作っていれば生き残れる」という時代ではありません。個店だけで考えてみると「新規開業した個店の約7~8割が3年以内に閉店に追い込まれている」という調査データもあります(居抜き店舗紹介会社が公表している統計データより)。こうした事態を防ぐためには、オペレーションや集客に終始するのではなく、「資金繰り対策」が不可欠と言えます。 そこで今回は、店舗資金繰りコンサルタントとして推奨できる「飲食店の資金繰りを良くする具体的な策」をご紹介します。泥臭いけれど効果的な実務テクニックです。

    ▼入金策

    ①いざという時のために余裕資金を確保しておく
    基本中の基本ですが、これが最強の防御策です。確保しておきたい金額としては、月商の3ヶ月以上、もしくは固定費の6ヶ月以上が理想です。逆に、月商の1か月以下、もしくは固定費の3か月以下になると危険です。銀行融資は「晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」と言われます。調子が良い時こそ、借入をしてでも手元資金を厚くしておくのが経営の鉄則です。

    ②入金サイトを加速させる(楽天ペイ等の活用)
    キャッシュレスの最大の敵は入金の遅れです。カード売上が翌々月入金では、資金ショートのリスクが高まります。そこで導入すべきが、以前のブログでも紹介しましたが、「翌日入金」に対応した決済サービス(楽天ペイ等)です。365日、売上の翌日には現金が入る仕組みを作ることで、資金繰りのストレスは劇的に改善します。

    ③戦略的に「現金支払い」に誘導する
    営業利益率が10%の店で、決済手数料を3%引かれると、「利益の30%が消える」ことになります。これを防ぐために、あえて泥臭く現金を取りに行きましょう。方法は2つあります。一つは、「現金支払いへの誘導」です。5,000円の決済手数料(約160円)を払うくらいなら、原価50円のドリンクをサービスしてでも現金をもらった方が、利益も残り次回の来店にも繋がります。もう一つは、思い切って「現金のみ(Cash Only)」を貫くことです。本当に美味しい店なら、お客様は現金を出してでも来てくれます。手数料を払ってまで、当店に愛着のない客に来て欲しいか? あえて不便にすることで、質の高いファンだけを「ふるいにかける」のも、一つの高度なブランド戦略です。

    ④売掛金をファクタリングで早期現金化する
    どうしても資金が足りない場合、売掛金をファクタリング会社に売却して、早期に現金化する手法もあります。手数料はかかりますが、背に腹は代えられない場面では非常に心強い選択肢です。ただ、恒常的な利用は資金繰りを悪化させる恐れがあるため、あくまで緊急時の選択肢として位置づけることが重要です。

    ▼出金策

    ⑤支払いを極力遅くしてもらえるよう交渉する
    「入金は早く、支払いは遅く」。これが資金繰りの黄金ルールです。仕入れ先や業者に対し、支払いサイトを少しでも延ばせないか交渉してみてください。創業当初は難しくても、実績ができれば応じてもらえるケースは多々あります。

    ⑥経費支払いにクレジットカードを活用する
    現金払いだとその場でキャッシュが消えますが、法人カード等で支払えば、実際の引き落としを「1ヶ月以上先送り」できます。実質的に無利息でお金を借りているのと同じ効果があります。会計ソフトとの連動も楽になるので一石二鳥です。

    ⑦請求書カード払いの活用
    最近増えているサービスです。銀行振込しか対応していない取引先への支払いをカード決済代行サービスを通すことでカード払いにできます。手数料(3~4%程度)はかかりますが、支払いを1~2ヶ月先延ばしにできるため、短期的な資金ショートを防ぐ命綱になります。

    ⑧給与支払日の設定を工夫する
    従業員の給与支払日を「月末締め翌月10日払い」ではなく「25日払い」など、遅めに設定することで手元資金に余裕が生まれます。特に人件費率が高い飲食店では、この半月の差が死活問題になります。

    ▼その他

    ⑨単純な値下げよりおまけやポイントを選ぶ
    集客のために安易に値下げ(割引)をしていませんか?値下げはその場のキャッシュを直撃します。代わりにドリンク1杯サービスや料理のおまけ、あるいは次回使えるポイントを渡すようにしましょう。お店としても、100円値引くより、売価300円(原価50円)の商品を提供したほうが、キャッシュの流出は少なく済みます。加えて、次回の来店にもつながります。「未来の売上」を作りつつ、現在の現金を守る賢いテクニックです。

    ⑩経費削減に努める
    無駄な出費は利益を食いつぶします。経費、特に特に毎月かかる固定費を下げていきましょう(持続的効果を発揮します)。また、設備購入や新たな取引の際は、必ず「相見積もり」を取りましょう。取引金額が大きくなった段階で、ボリュームディスカウントを交渉するのもよいでしょう。

    ▼まとめ

    いかがでしたでしょうか?この10の策で、入金を早め、出金を遅らせ、手元資金の底を上げていきましょう。ただ、
    「自社の場合、どこから手を付ければいいかわからない」
    「現金誘導のうまいやり方を知りたい」
    そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの会社のお金の流れ(血流)を診断し、利益と現金を最大化する方法をご提案します。

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2025.12.18
おいしくて売れているサイゼリヤから多くを学ぼう

  • 今回は、これまでこのブログでも複数回登場しています「サイゼリヤ」について取り上げてみます。

    まず、私はかなりのサイゼリヤ好きです。サイゼリヤとの出会いは大学生からで、かなり長い付き合いとなりますが、今でも週1回以上店舗利用しています。また、単によく利用する飲食店に留まらず、サイゼリヤという企業が好きです。飲食店経営における標準化・効率化、科学的経営の極みのような企業だと捉えており、フードビジネスに関わる者として尊敬の念さえ抱いています。もちろん、株も保有しています(笑)

    サイゼリヤに関する書籍は5冊程度持っており、その中でも、創業者である正垣泰彦さんが書かれた『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理』という書籍がとても好きです。正垣さんの小気味よい論調も痛快な感じで、楽しみながら読める飲食店経営の指南書、且つ金言集といった感じです。何度も読み返して、頭の中に刷り込んでいます。今回は、そんな私が大好きなサイゼリヤについて、経営視点で語ってみたいと思います。

    皆さんご存知の通り、サイゼリヤは「ミラノ風ドリア300円」「ハンバーグステーキ400円」「グラスワイン100円」といった格安メニューを提供している、人気のイタリアンファミレスチェーンです。 言わずと知れた「コスト・リーダーシップ戦略」の代表的な企業であり、徹底した低価格路線で成長を遂げてきました。

    では、サイゼリヤは圧倒的な安さを実現しつつ、なぜしっかりと儲かっているのでしょうか? その「安くて儲かる秘訣」を3つの視点から解説します。

    ▼安くて儲かる秘訣①:キッチンの極小化・効率化

    サイゼリヤにはかつて全国に小型店舗が数多くありましたが、実はどの店舗も「キッチンの占める面積」が意外と大きかったようです。そこで2015年頃から、サイゼリヤでは「キッチン面積を半分にした店舗」の導入を開始しました。

    いわゆるコストゾーン(利益を生まない場所)であるキッチンを半減することで、その分客席を増やして売上を増やす。また、店舗自体を小さくできれば、テナント料や土地購入費、建設費なども低く抑えることができます。そのため、家賃の高い駅前や都心の極小地への出店が可能となりました。

    では、なぜキッチンを半分にできたのでしょうか? それは基本的に「店内で調理をしないから」です。

    サイゼリヤのキッチンには包丁などの調理器具はなく、ガスレンジ(直火)もありません。 自社工場(セントラルキッチン)でほぼ完璧に仕上げられた料理を、店舗ではベルトコンベア式のオーブン(ジェットオーブン)等で加熱調理するだけ。徹底してオペレーションを簡素化しているため、キッチンを極限まで小さくできるのです。

    ▼安くて儲かる秘訣②:製造直販(飲食業界のユニクロ)

    サイゼリヤが儲かる理由として忘れてならないのが、食材を自社生産していることです。 しかも、ただの自社生産ではなく、栽培・収穫から加工・調理まで一貫して行う「製造直販(SPA)」です。

    この「製造直販」というキーワード、前回のブログを読んだ方はピンときたかもしれません。 そう、あの一世を風靡した「東京チカラめし」「金の蔵」の運営会社、SANKOマーケティングフーズも現在、自社で船を持って漁に出るなど、この「製造直販」の漁業版に本気で取り組んでいます。

    しかし、前回の記事でも触れた通り、SANKO社が8期連続赤字で苦戦を強いられているのに対し、サイゼリヤはこのモデルで圧倒的な利益を出し続けています。ちなみに、同じ製造直販を目指しながら、なぜこれほどの差が出るのか?

    それは、サイゼリヤが何十年もかけて築き上げた「徹底力」と「規模」の違いにあると考えられます。

    • 種の開発から行う:レタスは種(品種)の段階から開発しており、1つの株でより多くの人が食べられる効率のいいレタスを開発。
    • 海外に専用工場:ホワイトソースは、牛乳文化のオーストラリアに専用の工場を建設し、自社製造。

    単に自社で作るだけでなく、世界規模で最も効率的な方法をゼロから設計するレベルで取り組んでいるからこそ、他社が真似できない低コストを実現できているのです。

    ▼安くて儲かる秘訣③:理系思考による「科学的経営」

    サイゼリヤの経営陣には、創業者の正垣氏をはじめ理系学部出身者が多いことが特徴です。 入社試験でも論理的思考を問われると言われています。

    サイゼリヤでは、調理の作業工程はもちろん、店内の清掃から、野菜がもっと美味しく食べられる保管温度までもがすべて数値化されています。SANKO社の事例と比べても分かるとおり、理想(ロマン)だけでは製造直販は成功しません。サイゼリヤには、それを支える冷静沈着な「科学的経営」があるのです。

    ▼おいしいから売れるのではない

    最後に、サイゼリヤ創業者・正垣泰彦会長の言葉を紹介します。 著書のタイトルにもなっていますが、 「おいしいから売れるのではない。売れているのがおいしい料理だ」 です。

    このタイトルの意味合いとしては、「自分の店の料理がおいしいと思ってはいけない。なぜなら、自分の店の料理をうまいと思ってしまったら、『売れないのはお客さんの舌がおかしいからだ』『景気が悪いからだ』と他責にしてしまうから」 という戒めが込められています。

    目の前の現実を謙虚に受け入れて、本当にお客様が満足されていることは何かを見極めよう。自分たちが作る料理や加工品が「うまい」と思ってしまったら、もう進歩はありません。 モノに溢れる現代、消費者は特別な理由や魅力がないと商品を手に取ってくれません。

    「初めに安売りありきではない」というのもサイゼリヤのポリシーです。 看板メニューのミラノ風ドリアが300円なのは、「あるべき価格」を設定し、それに近づけるために日々改善に取り組んだ結果なのです。

    ▼まとめ

    サイゼリヤは、徹底した効率化とシステム化を図ることで、他社より安いコストを持続的に実現することに成功している企業です。

    これは「科学的経営」、つまり経営事象を数値や客観的なデータできちんと捉えて、因果関係を考えPDCAを回し続けた努力の結果です。

    「売れているのが美味しい料理」そう捉えれば、サイゼリヤは間違いなく日本でトップクラスに「美味しいお店」と言えます。私たち経営者にとってサイゼリヤはまさに「気付きの宝庫」なのです。
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2025.12.16


早期退職から1年ー私が「サイドFIRE」できた理由とお金で大切なこと

  • 前職(三菱電機)を退職・独立起業して約1年。私が退職後まず注力したことは、お金の勉強でした。それはなぜかと言うと、①まとまった金額の退職金を手に入れるにあたり、正しい知識がないまま扱うのは危険だと思ったから、②会社員卒業後の人生において、お金で困ることを避けたいと考えたからです。もともと投資(資産運用)好きで10年以上色々な投資に挑戦してきましたが、きちんとした金融知識を身に付けることなく実践してきた結果、なかなか損をしてきた苦い過去があります(投資ではなく、いわゆる投機で数百万円を溶かしたことが何回かあります...)

    ということで、お金・金融の勉強を行い、具体的に関連書籍を約100冊をインプットしました。その知識をもとに退職金を資産運用した結果、2025年、サイドFIREを実現することが出来ました。サイドFIREとは、資産運用益で生活費の半分以上を賄いながら、好きな仕事で働くライフスタイルのことです。サイドFIREはもともと退職後の目標に掲げていたのですが、目標より1年早く実現することが出来ました。

    サイドFIREなので、主業のコンサルタント業はもちろん行っていますし、普通に労働していますが、安心して挑戦できる土台ができたことは大きな安心感があります。ちなみに、サイドFIREが実現できたのは、私自身の生活費(固定費)が少ないからという理由もあるでしょう。趣味はお金のかからない山登り。サイゼリヤ・日高屋・マクドナルドで豊かさを十分享受できちゃいます。やはり固定費を抑えることは家計でも経営でも最強の防衛策ですね。

    あと、この経験を通じて改めて重要なことを痛感しました。
    それは、「資本主義社会においてはお金の知識が不可欠であり、お金の知識を学ぶことは最もリターンの良い投資である」ということ。これは、個人のみならず企業経営においても全く同じことが言えます。お金とは血流と言えるほど重要で、キャッシュが尽きれば倒産・破産します。
    そこで、社長自身がお金の知識を身に付ければ理想的でしょう。しかし、時間・労力・お金をかけたインプットを、忙しい店舗経営者が行えるでしょうか?答えは「No」です。もし、店舗経営者がそれをやろうとすれば、最も大切な本業(お客様を喜ばせること)が疎かになりかねません。

    ▼銀行を味方にし、専門家のサポートを受ける

    では、どうすればいいのか?
    答えはシンプルです。「お金の専門家(プロ)のサポートを受ける」ことです。
    ここで言うお金の専門家とは、具体的には「銀行」および「財務顧問(コンサルタント)」を指します。そもそも、(資金調達の王道である融資を行う)銀行と対等に渡り合い、有利な条件(サポート)を引き出すには、プロレベルの共通言語(財務知識)と戦略・ロジックが必要ですが、「財務顧問」を活用するという形であれば、一瞬で手に入れることができます。
    また、

    • ●場当たり的ではない、中長期的な資金繰り計画の策定
    • ●攻めの投資をするための財務基盤の強化
    これらを私が財務顧問として強力にバックアップします。
    財務・資金繰りについても、書籍100冊分に匹敵するほど時間・労力・お金を投資してきましたのでご安心ください。

    ▼盤石な土台があれば、経営はもっと楽しくなる

    私がサイドFIREという土台を得て、安心して仕事に挑戦できているように、あなたの会社も、プロの手によって強固な「財務基盤」ができれば、経営はもっと自由で、ダイナミックなものになります。

    「資金繰りの不安がないから、思い切って新店舗を出せる」
    「手元資金が潤沢だから、妥協せずに最高級の食材を仕入れられる」

    「お金の不安(守り)」を私に預けて、あなたは「攻めの経営(本業)」に専念してください。美味しい料理を提供するのがあなたの専門なら、その料理を提供し続けるための「お金の戦略」を練るのは、私の専門領域です。餅は餅屋です。
    もし今、「財務顧問はおらず、お金のことは場当たり的になっている」と感じているなら、それは危険信号です。手遅れになる前に、一度プロの視点を入れて、あなたの会社の「財務の健康診断」をしてみませんか?
    私の持てる知見を使って、あなたの会社にも「安心して挑戦できる土台」を作り上げます。

    ▼ちなみに、こんな本を読み込みました(一部抜粋)

    お金持ちは合理的(立川健悟)
    「パラレルインカム」のはじめ方(泉正人)
    漫画バビロン大富豪の教え(ジョージ・S・クレイソン)
    お金の大学(両@リベ大学長)
    JUST KEEP BUYING(ニック・マジューリ)
    金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント(ロバート・キヨサキ)
    金持ち父さん 貧乏父さん(ロバート・キヨサキ)
    ほったらかし投資術(山崎元、水瀬ケンイチ)
    マンガでわかるお金を増やす思考法(奥野一成)
    ゼロからはじめる不労取得のつくり方(岡本康)
    ジェイソン流お金の増やし方(厚切りジェイソン)
    金持ち父さんの投資ガイド 入門編(ロバート・キヨサキ)
    お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ(橘玲)
    お金持ち入門 資産1 億円を築く教科書(土井英司)
    金持ち父さんの こうして金持ちはもっと金持ちになる(ロバート・キヨサキ)
    ビジネスエリートになるための教養としての投資(奥野一成)
    年収300万円FIRE 貯金ゼロから7年でセミリタイアする「お金の増やし方」(山口貴大)
    誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方(今井孝)
    パックン式 お金の育て方(パトリック・ハーラン)
    超現実的で超具体的なお金の増やし方(ハック大学 ぺそ)
    未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法(南祐貴)
    お金以前(土屋剛俊)
    1年で億り人になる(戸塚真由子)
    「お金の増やし方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた(藤𠮷豊、小川真理子)
    お金の不安がなくなる小さな習慣(有川真由美)
    元外資系金融エリートが語る 価値あるお金の増やし方(肉乃小路ニクヨ)
    いつのまにか億り人になれる超マネーハック(品田一世)
    経済評論家の父から息子への手紙(山崎元)
    改訂版 お金は寝かせて増やしなさい(水瀬ケンイチ)
    となりの億万長者が17時になったらやっていること(嶋村吉洋)
    貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス(横山光昭)
    アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書(アンドリュー・O・スミス)
    ゆるFIRE(アラサーdeリタイア管理人 ちー)
    迷わない新NISA投資術(菱田雅生、大口克人)
    きみのお金は誰のため(田内学)
    年間100万円の配当金が入ってくる最高の株式投資(配当太郎)
    【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方(山口貴大)
    女子とお金のリアル(小田桐あさぎ)
    敗者のゲーム(チャールズ・エリス)
    「日経平均10万円」時代が来る!(藤野英人)
    一生お金に困らない「富」のマインドセット(モーガン・ハウセル)
    DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール(ビル・パーキンス)
    経済評論家の父から息子への手紙: お金と人生と幸せについて(山崎元)
    残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法(橘玲)
    残酷すぎる幸せとお金の経済学(佐藤一磨)
    元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者(小林義崇)
    年収1億円になる人の習慣(山下誠司)
    見るだけでお金が貯まる 賢者のノート(水上克朗)
    お金持ちになる人の心理学(大嶋信頼)
    決定版! お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元、堀江貴文)
    13歳からの億万長者入門―1万円を1億円にする「お金の教科書」(ジェームス・マッケナ他)
    ふがいない僕が年下の億万長者から教わった 『勇気』と『お金』の法則(小林昌裕)
    お金の真理(与沢翼)
    1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました(トマス・J・スタンリー)
    月10万円で より豊かに暮らす ミニマリスト生活(ミニマリストTakeru)
    サイコロジー・オブ・マネー(モーガン・ハウセル)
    金のなる人 お金をどんどん働かせ資産を増やす生き方(成毛眞)
    父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え(ジェイエル・コリンズ)
    金持ちフリーランス 貧乏サラリーマン(やまもとりゅうけん)
    金持ちになる男、貧乏になる男(スティーブ・シーボルド)
    お金が増える強化書(上岡正明)
    インデックス投資は勝者のゲーム(ジョン・C・ボーグル)
    金持ち列車、貧乏列車 成功者だけが持つ「切符」を手に入れる方法(末岡よしのり)
    1日1分読むだけで身につくお金大全100(頼藤太希、高山一恵)
    お金のポケットが増える スゴイ!稼ぎ方(山崎拓巳)
    攻めの節約(生方正)
    貧乏はお金持ち(橘玲)
    お金のなる木を育てなさい 世界一やさしい副業・投資の始め方(小林昌裕)
    働きたくないけどお金は欲しい(遠藤洋)

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2025.12.15
ご飯が致命的にマズい…ある日のランチと「東京チカラめし」から学ぶ教訓

  • 普段は、財務・資金繰り、店舗ビジネスの経営についてブログを書いていますが、今回はちょっと毛色を変えてみますね。

    今回は、つい先日私が体験したあるランチの出来事と、かつて一世を風靡しながら急速に姿を消した「東京チカラめし」の事例を掛け合わせ、フードビジネスで欠かせない教訓を提唱してみようと思います。

    ▼サバは美味しい。しかし、ご飯が致命的にマズい…

    私は普段から様々な飲食店で食事をします。先日、ランチでふらりと入ったお店での出来事です。

    注文したのは「焼きサバ定食(880円)」。 運ばれてきたサバは脂が乗っていて、とても美味しそうでした。しかし、定食のご飯を見た瞬間、違和感を覚えました。「ん? 色がおかしい…?麦ごはん?」
    箸でめくってみると、明らかに炊飯器の底で焦げ付いて変色しており、長時間保温し続けた蒸しごはん特有の臭いがします。食べてみると、パサパサの部分とベチャッとした部分が混在し、正直に言ってあまり食べられるレベルではありませんでした。
    メインの焼きサバは美味しいのに、それを受け止める土台のご飯が致命的にマズい。これだけで、食事全体の満足度は地に落ちました。

    会計時に店員さんにその旨を伝えたところ、事実に気づき、「今回のお代は結構です」と全額サービスになりました。 私は決してタダ飯を食べたかったわけではありません。なんとなく申し訳なさと、なんか食事したのに疲れたなという複雑な気持ちを抱えて店を後にしました。

    ▼「ご飯がマズい」で消えた東京チカラめし

    このご飯がマズいという体験で脳裏をよぎったのが、かつて「焼き牛丼」という画期的なスタイルで一世を風靡した「東京チカラめし」です。

    2011年の1号店オープンから、わずか1年半で100店舗以上という驚異的なスピードで拡大。私も当時は「焼肉感があって旨い!」とよく通っていました。が、致命的にマズいご飯と出会ってしまい、以降行くことはなくなってしました。その後の衰退は皆さんもご存知の通りです。最盛期に130店舗あった店は、一時期は国内店舗がほぼ消滅(現在は一部店舗で営業を続けているようです)。

    なぜ、あれほどの勢いがあったチェーンが崩壊したのか?改めて分析すると、そこには「現場(オペレーション)」と「経営(戦略)」の2つの致命的なミスがありました。

    ▼現場の崩壊:オペレーションの構造的欠陥

    「焼き牛丼」には構造的な弱点がありました。

    • ●提供スピードの遅れ:「煮る(吉野家・松屋)」は盛るだけですが、「焼く」は調理時間がかかります。忙しいランチタイムのサラリーマンにとって待たされるのは致命的です。
    • ●店内の汚れ(QSCの欠如):店内で肉を焼くため、油煙が充満しやすく、床やテーブルがヌルヌルするという衛生面(Cleanliness)の課題がありました。
    • ●ご飯の品質低下:これがトドメです。急拡大によるスタッフ教育不足からか、「ご飯がパサパサでマズい」「芯が残っている」という口コミが当時殺到しました。「焼き」のタレだけでは、不味いご飯は誤魔化せなかったのです。

    ▼運営会社は現在どうなっているのか?

    さて、ここからがとても考えさせられる話です。
    ブームが去り、店舗もほとんど無くなってしまった東京チカラめし。その運営会社(SANKO MARKETING FOODS)は今、どうなっていると思いますか?ちなみに同社は、全品均一価格居酒屋の先駆けとして一時代を築いた「金の蔵」を手掛けた会社でもあります。なお、金の蔵は、2000年代後半〜2010年代に全品270円などで人気を集め、全国100店舗近くを展開しましたが、飲食業界の環境変化やコロナの影響で急速に縮小。2025年時点で、営業継続しているのは池袋サンシャイン通り店など、ごく一部のみとされています。つまり、奇しくも、「東京チカラめし」も「金の蔵」も、劇的に流行り→廃りの道を辿ってしまったのです。

    現在、同社は店舗数を大きく減らして業態変更していますが、驚くべきはなんと「漁業」に参画しているのです。
    自社で船(「SANKO丸」など)を保有し、漁師さんと一緒に海に出て魚を獲り、それを加工して、自社の店舗で提供する。いわゆる製造直販に本気で取り組んでいるのです。

    私自身、コンサルタントとして農業支援や六次産業化の支援にも携わっていますので、一次産業(漁業)に関与し、中間コストを省きながら付加価値を高めようとする方向性は、日本の一次産業を支える意味でも、ビジネスモデルとしても、高く評価できます!これからの飲食企業が目指すべきあるべき姿の一つだとも感じています(実際のところ、私が好きなサイゼリヤも農業で製造直販に取組んでいます)。

    とは言え……現実はシビアです。そんな素晴らしい方向性での取り組みをしているにも関わらず、同社の決算は直近まで「8年連続赤字」という厳しい状況が続いています。 

    「正しいことをしていれば、いつか報われる」
    そう信じたいところですが、経営においては「利益(黒字)」が出なければ、どんなに崇高な理念も継続することができません。
    理想(ロマン)を語ることは大切です。しかし、そのロマンを実現し続けるためには、目の前の「ご飯を美味しく炊く」「床を磨く」「1円単位の利益を積み上げる」という、超基本的なことがベースになるのです。

    ▼足元を見つめ直す勇気

    もし、あなたが経営者で、
    「こだわっているのに、なぜか客足が伸びない」
    「新しい取り組みを頑張っているのに、赤字から抜け出せない」
    そう悩んでいるとしたら、一度視線を「足元」に戻してみてください。そんな当たり前のことを見直すだけで、景色が変わることがあります。
    私は店舗資金繰りコンサルタントとして、あなたの志あるビジネスを長く続けるために必要な「儲けるための財務基盤(資金繰り)」を一緒に固めていきます。

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2025.12.14
キャッシュレス貧乏になっていませんか?—飲食店を苦しめる「手数料」の正体

  • 「うちはお客様のために全種類のクレカとQR決済に対応しています!」
    そう胸を張る経営者がいらっしゃれば、店舗資金繰りコンサルタントとして少し心配をしてしまいます。世の中はキャッシュレス全盛です。国も推進しています。しかし、その便利さの裏で、あなたのお店の「利益」と「現金(キャッシュ)」が、静かに、しかし確実に削り取られていることに気づいていますか?

    今回は、多くの飲食店が陥るキャッシュレスの罠と、現金(キャッシュ)を守るための泥臭いけれど効果的な対抗策についてお話しします。

    ▼「売上の3%」ではなく「利益の30%」が消えている

    多くの経営者はこう考えます。
    「手数料3.25%なんて必要経費。1,000円売って32円引かれるだけでしょ?」

    これは大きな間違いです。飲食店の営業利益率は、一般的に10%前後と言われています。
    もし1,000円のランチを売って、手元に残る最終利益が100円(10%)だとしましょう。
    ここでクレジット決済手数料で32円引かれるとどうなるか?「100円の利益のうち、32円(約3割)が決済会社に持っていかれる」 ということになります。

    一生懸命働いて、原価を削り、人件費をコントロールして捻出した虎の子の利益の30%が、ただ右から左へ決済システムを通しただけで消えるのです。こう考えるとゾッとしませんか?

    ▼さらに追い打ちをかける「グルメサイトの送客手数料」

    ここにもう一つ、見落としがちな強敵がいます。
    「ぐるなび」や「ホットペッパー」などの予約ポータルサイトです。

    ネット予約が入ると、1人あたり50円〜200円程度の「送客手数料」が発生します。では、先ほどの「1,000円ランチ」の例で、もしお客様が「ネット予約」をして、かつ「カード払い」をしたらどうなるでしょうか?

    • 売上:1,000円想定利益:100円
    • カード手数料:▲32円
    • 送客手数料:▲50円(仮)
    • 残る利益:たったの18円

    お分かりでしょうか? 汗水垂らして料理を作り、サービスをして、最後に残るのが18円です。入り口(予約)で手数料を取られ、出口(決済)でも手数料を取られる。まさに「往復ビンタ」です。 これこそが、手数料ビジネスに蝕まれる飲食店の実態なのです。気づいた時には、頑張っているのに利益・キャッシュが残らない。これでは何のために働いているのか分かりません。

    ▼最大の敵は「入金サイト」

    しかも、手数料以上に怖いのが「入金サイト(お金が入ってくるまでのタイムラグ)」です。
    現金払いなら、その場でお金が入ります。その日の夜に食材を買えます。しかし、クレジットカードの場合、入金されるのは翌月末や翌々月になることもあります。

    「売上は立っているのに、手元に現金がない」
    これは以前のブログで解説した「黒字倒産」の入り口です。特に資金体力の弱い小規模店舗にとって、現金の入りが1ヶ月遅れることはとても痛いことです。

    ▼手数料の「上乗せ請求」は絶対NG!

    ここで一つ、絶対にやってはいけないことがあります。

    「手数料が引かれるのが嫌だから、カード払いの場合は3%上乗せして請求しよう(またはランチはカード不可にしよう)」
    気持ちは分かりますが、これは「加盟店規約違反」です。 クレジットカード会社は、現金払いとカード払いで価格差をつけることや、手数料をお客様に転嫁することを規約で禁じています。もしお客様からカード会社に通報されれば、最悪の場合、契約解除(カード決済自体が使えなくなる)というペナルティを受けます。

    だからこそ、規約を守りながら、正攻法で対抗する「戦略」が必要なのです。

    ▼対抗策①:「楽天ペイ」で入金サイクルを加速させる

    とはいえ、今さら「現金のみ」にするのは勇気がいる…という方もいるでしょう。キャッシュレスを維持しつつ、資金繰りを守るなら、「楽天ペイ(実店舗決済)」の活用が一つの解です。

    楽天ペイの最大の強みは、「翌日入金」です(※楽天銀行口座を指定した場合)。365日、土日祝日に関係なく、売上の翌日には現金が口座に入ります。手数料(3%〜)はかかりますが、少なくとも「入金サイト」による資金ショートのリスクは極限まで減らせます。資金繰り重視の経営者なら、導入を検討すべきツールです。

    ▼対抗策②:あえて「現金のみ」を貫く

    思い切って「現金のみ(Cash Only)」にするのも、悪くありません。

    「カードが使えないなら行かない」そう言うお客様がいるかもしれません。しかし、恐れる必要はありません。決済手段を理由に来店をやめる客は、そもそもあなたのお店のファンでも何でもありません。あなたのお店の味やサービスに対する来店動機が、その程度(たいして高くない)ということです。
    そんな熱量のお客様に合わせるために、身を削って手数料を払う必要はありません。むしろ、「現金を出してでも食べたい」と言ってくれる「真のファン」だけを残す。あえて不便にすることで、質の高いお客様だけを「ふるいにかける(スクリーニングする)」のです。

    かつてのサイゼリヤや、行列のできるラーメン店を見てください。商品の魅力が圧倒的であれば、お客様は現金払いのみでも喜んで財布を開きます。商品の魅力、サービス品質を磨けば、必ずしも身を削ってお客様に迎合する必要はないのです。

    ▼対抗策③:「現金払い」に誘導する

    「現金のみにするのは怖い。でも手数料は減らしたい…」
    それなら、お客様がつい現金で払いたくなる「仕掛け」を作りましょう。

    例えば、私がよく行く中華料理屋さんでの事例ですが、現金支払いの方限定で「くじ引き」ができるという施策を実施されていました。私も現金払いにして、くじ引きに挑戦しました。

    ここで重要なのは計算です。5,000円の飲食代のカード手数料(3.25%)は、約160円です。もし、くじ引きの景品(次回使えるサービス券やドリンク)でお客様が現金を出してくれれば、「160円の手数料支払いを回避し、100円以下の原価コストで済んだ」ことになります。かつ、現金が増え、次回の来店にもつながる。一石二鳥どころか三鳥です。これは、とても賢い施策です。

    ▼Cash is King(現金は王様)

    便利なツールは使うべきですが、使われてはいけません。「みんながやっているから」と思考停止で導入したキャッシュレス端末が、あなたのお店の利益と現金を蝕んでいないか、今一度確認してください。「手数料で月いくら消えているか?」「その金額があれば、何ができたか?入金サイクルは自社の支払いに間に合っているか?」自問自答してください。

    もし今、
    「売上はあるのに、なぜか月末の支払いが苦しい」
    「手数料地獄から抜け出し、筋肉質な財務体質を作りたい」
    そう感じているなら、一度ご相談ください。

    私は店舗資金繰りコンサルタントとして、
    ✔ 決済手段の見直しによる利益改善シミュレーション
    ✔ 「翌日入金」を実現する仕組みづくり
    ✔ お客様が喜んで現金を出す仕掛け
    を一緒に考え、実行まで伴走します。

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2025.12.13
なぜ脱毛サロンは次々と潰れたのか?—「前受金」にひそむ罠

  •  「ミュゼプラチナム」、「銀座カラー(エム・シーネットワークスジャパン)」、「アリシアクリニック」など、ここ数年、脱毛サロン業界の倒産・トラブルが相次ぎました。
    一時はCMで見ない日はないほど華やかだった業界が、なぜこれほど脆く崩れ去ったのか?ニュースでは「解約返金トラブル」「過当競争」などが報じられますが、私が見るポイントは別の場所にあります。

     それは、このビジネスモデルが抱える「前受金」の扱いにあります。
    今回は、脱毛サロンの倒産事例を解剖し、店舗経営者が陥りやすい「見せかけのキャッシュ」の恐怖と、その正しい付き合い方について解説します。

     ▼そもそも前受金自体は悪くない(むしろ良い!)

     誤解してはいけないのは、「前受金をもらうビジネスモデル」自体は決して悪いものではない、ということです。 むしろ、資金繰りの観点から見れば「最強のモデル」と言っても過言ではありません。
     例えば、一般的な飲食店を想像してください。お客様が食事をして、クレジットカードで支払う。売上は立ちますが、実際にお金が入金されるのは「翌月末」や「翌々月」になることもあります。その間も、食材費や人件費などの支払いは先にやってきます。つまり、「売れているのにお金がない(サイト負け)」という資金ショートのリスクが常にあります。
     実際、私のコンサルティング現場でも、資金繰り改善の一手として、お得なお食事券の販売を提案したことがあります。さらに、お食事券の支払いを手数料のかかるクレカではなく、現金で前払いしてもらうことで、資金繰りがさらに良くなります。
    私自身も、以前よく通った横浜のビアレストランでお得なお食事券を購入したことがあります。お店はお金が先に手に入り、私はお得に食事ができ、お店のファンになる。正しく使えば、店と客の双方にメリットがある素晴らしい仕組みです。

    ▼経営者の規律が試される「甘い誘惑」

     しかし、この「最強の武器」を扱うには、強靭な経営者の規律(メンタル)が求められます。 なぜなら、目の前に「自分のものではない、巨額の現金」が積み上がるからです。脱毛サロンの倒産パターンの多くは、経営者の勘違いから始まります。
    「全身脱毛し放題」などで30万円〜50万円を先に受け取る手元の銀行口座に、巨額の現金が積み上がる経営者はそれを「利益」だと錯覚し、派手な広告費や出店費用に使い込んでしまう。

     ここが最大の過ちです。お客様から預かった30万円は、財務的には「売上」ではありません。「将来、施術をする義務(負債)」です。本来であれば、このお金は施術を行うたびに発生する人件費や家賃のために、大切に取っておかなければならない未来の「経費」です。
    それを「今あるから」「どうせ後でまた入ってくるから」と、欲に負けて使い込んでしまう。この「あるはずのない利益」に目がくらみ、使うべきでないお金に手をつける愚かさこそが、破綻の原因です。

    ▼成長が止まった瞬間、一気に転落する

     このモデルは新規客が増え続けている間は回ります(自転車操業)。しかし、コロナ禍や競合激化で新規客の流入が止まった瞬間、破綻します。

    • 入金(In): 新規が来ないのでゼロ。
    • 出金(Out): 過去にお金を受け取ってしまった既存客への施術コストは出続ける。

     まさに「過去に食べたご馳走のツケを今払わされている」状態。手元の現金は枯渇し、広告も打てなくなり、サービスの質が落ち、解約が殺到する。しかし、解約返金するための現金はすでに使い込んでしまって無い…。これが、脱毛サロン倒産のメカニズムです。

    ▼あなたの店にもある「前受金の罠」

     うちは脱毛サロンじゃないから関係ない。そう思いましたか?
    実は、店舗ビジネスにはこの「プチ・脱毛サロン現象」が溢れています。

    • 回数券(チケット)販売コース契約の前払いプリペイドチャージ

    これらはすべて、資金繰りを劇的に良くする「武器」であると同時に、経営者の金銭感覚を狂わせる「罠」でもあります。「通帳にお金がある=儲かっている」と錯覚し、未来に使うべきコストまで使ってしまう。この誘惑に勝てるかどうかが、経営の分かれ道です。

    ▼手元の現金の「色」を見極めろ

     では、どうすればいいのか? 答えはシンプルです。精神論ではなく「分別管理」を徹底することです。私がコンサルティングをする際、前受金を導入している店舗には必ずこう伝えます。
    「いただいた前受金は、サービス提供が完了するまで『別の口座』に分けて、絶対に手を付けないでください」「使えるお金は、施術が終わって『売上』に変わった分だけです」
    厳しいようですが、これを守れば、前受金はあなたのビジネスを加速させる「最高のエンジン」になります。逆に、どんぶり勘定で使い込めば、いつか必ず破綻します。

     アーバンコーポレーションのような「黒字倒産」とは逆に、脱毛サロンは「現金を大量に持っていたのに倒産」しました。共通しているのは、「お金の入りと出のバランス(キャッシュフロー)を制御できていなかった」という点です。
    「今、口座にある100万円は、本当に使っていいお金なのか?」
    「将来の支払いのために、取っておくべき『預かり金』ではないか?」
    この「お金の色(性質)」を見極める目を持つことが、永く続く経営の第一歩です。

    もし今、
    「回数券の売上で日々の支払いを回している(自転車操業気味)」
    「前受金を導入して資金繰りを改善したいが、管理がわからない」
    そう感じているなら、一度財務の健康診断を受けてみませんか?

    私は店舗資金繰りコンサルタントとして、
    ✔ 前受金を活用した「攻めの資金繰り設計」
    ✔ 「使っていいお金」と「ダメなお金」の明確化(管理体制の構築)
    ✔ 銀行融資を活用した健全なキャッシュフロー改善
    を一緒に考え、実行まで伴走します。甘い誘惑に打ち勝ち、筋肉質な財務体質を作りましょう。

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2025.12.11
過去最高益でも会社は潰れる?アーバンコーポに学ぶ黒字倒産

  •  「うちは黒字だから大丈夫」「決算書上の利益が出ているから、銀行も貸してくれるはず」もしそう思っている経営者の方がいたら、今日の話は少し怖いかもしれません。しかし、会社を守るためには絶対に知っておかなければならないお金の真実です。
    今回は、かつて「不動産業界の風雲児」と呼ばれながら、過去最高益を記録した直後に倒産した株式会社アーバンコーポレーションの事例をもとに、黒字倒産のメカニズムについてお話しします。

    ▼600億円の黒字なのになぜ倒産?

     2008年8月、東証一部上場企業のアーバンコーポレーションが民事再生法を申請し、倒産しました。負債総額は2,500億円超。衝撃的だったのは、その直前の決算(2008年3月期)で、売上高2,400億円、経常利益600億円という「過去最高益」を叩き出していたことです。数字上は絶好調。それなのに、わずか数ヶ月後に会社は消滅しました。
    理由はシンプルです。現金(キャッシュ)が尽きたからです。

    ▼勘定合って銭足らず

     なぜ600億円も利益があったのに現金がなかったのでしょうか? ここに「会計上の利益(PL)」と「現金(CF)」のズレがあります。
    当時のアーバン社は、マンション分譲から「ビルを再生して投資ファンドに転売する事業」へと急激にシフトしていました。「土地を買う→建物を建てる→ファンドへ売る」というサイクルですが、不動産は現金化されるまでに時間がかかります。

    • 仕入れ(キャッシュアウト): 巨額の借金をして土地やビルを買い漁る。現金は出ていく。
    • 在庫(棚卸資産): 完成した物件は「資産」として計上される(売れるまで費用にならない)。
    • 販売(売上計上): サブプライム問題で買い手であるファンドが資金難に陥り、一気に売れなくなった。

    決算書上は、持っている不動産の価値評価などで「利益」が出ているように見えても、手元の銀行口座には現金がない。加えて、倒産直前には、「300億円の資金調達を発表したが、実際は手元に残らない契約だった」という実質的な粉飾(に近い株価操作)まで露呈し、銀行団の信用も完全に崩壊しました。
    「利益」はあくまで計算上の数字。「現金」は現実。この2つの乖離(ズレ)を見誤り、さらに銀行からの信用も失った結果、黒字倒産となりました。

    ▼私が目の当たりにした不動産業界の実態

     実は私自身も過去に、ある土地造成を行う企業の経営診断した際、これと同じ不動産業の構造的な問題を目の当たりにしたことがあります。
    その企業も決算書上は黒字でした。しかし、ビジネスモデル上、どうしても投資サイト(お金を出してから回収するまでの期間)が長く、運転資金は常に銀行借入に支えられていました。
    借入金を含めた手元の多額のキャッシュを次々と「土地(在庫)」に変えていくため、本業でお金が増えているかを示す「営業キャッシュフロー」は常にマイナス。それに加えて、借入過多による「支払利息」と、黒字であるがゆえの「税金」の負担が重くのしかかっていました。
     さらに苦しかったのが、外注先(工事業者)に対する価格交渉力が弱かったことです。原価を思うように下げられず、薄利となった挙句、キャッシュが出ていくのを止められない…。
    結果として、「忙しくて利益は出ているのに、なぜか手元にお金が全く残らない」という状態に陥っていました。これは不動産関連業特有のジレンマかもしれませんが、「利益と現金は別物である」という真実を物語っています。

    ▼店舗ビジネスでも黒字倒産はあり得る

     「それは何千億という不動産会社の話でしょ?」と思われるかもしれません。しかし、この構造は店舗ビジネスでも全く同じです。例えば、

    • 在庫の抱えすぎ:「安く仕入れられるから」と大量に商品を仕入れたが、売れずに倉庫に眠っている。決算書上は「資産」ですが、資金繰り的には「不良在庫(=死に金)」です。
    • 過大な設備投資:「利益が出ているから」と、手元資金ギリギリまで使って改装や新店オープンをした。その直後に売上が少し落ちたら……?
    • 借金の返済(元金):ここが最大の盲点です。銀行への返済(元金)は「経費」になりません。利益が出て税金を払った残り(税引後利益)から返済しなければならないのです。利益が100万円あっても、返済が150万円あれば、黒字でもお金は減っていきます。

    ▼Cash is King

     アーバン社の黒字倒産は大きな教訓の一つとなりえます。どれだけ大きな売上高があって、素晴らしい商品があって、そして、どれだけ帳簿上の利益があっても、支払日に1円でも足りなければ会社は終わります。逆に言えば、どれだけ赤字でも、現金さえあれば会社は潰れません。だからこそ、PL(損益計算書)よりもCF(キャッシュフロー)を見る必要があるのです。
    好調な時ほど、脇が甘くなります。「利益が出ている」=「お金がある」と錯覚してしまうのです。そういう時は、「この利益のうち、現金として残っているのはいくらか?」「在庫や売掛金として眠っているお金は適正か?」「半年売上がゼロでも耐えられる現預金はあるか?」と自問してみてください。

    もし今、
    「利益は出ているはずなのに、なぜかお金がない」
    「税金や返済を払うと資金繰りがカツカツになる」
    そう感じているなら、それは黒字倒産に近づいているサインかもしれません。

    私は店舗資金繰りコンサルタントとして、
    ✔ 決算書では見えないキャッシュフロー診断
    ✔ お金の未来が見える「資金繰り表」の作成と運用
    ✔ 銀行が貸したくなる財務体質の改善
    を一緒に考え、実行まで伴走します。「勘定合って銭足らず」にならないために、未来のお金を守る仕組みを一緒に作りましょう。

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2025.12.09
法人成りで「創業融資」は使えるのか?

  •  事業が軌道に乗ってくると、税理士さんから「そろそろ法人化(法人成り)しましょうか」と提案されることがあります。そこで多くの経営者がふと思い立つのが、これです。「会社を作ったら『新設法人』になるんだから、また『創業融資』でお金を借りられるんじゃないか?」
     創業融資は、実績がなくても借りやすく、金利や無担保・無保証などの条件が優遇されている「ボーナスタイム」のような制度です。もし法人成りして再度これが使えるなら、資金調達のチャンスですよね。しかし、結論から言うと、多くの場合、法人成りで創業融資は使えません。今回は、意外と誤解されている「法人成りと創業融資」のルールと、そこから見えてくる「銀行が本当重視しているポイント」について解説します。

     

    ▼そもそも「創業融資」とは?なぜ人気なのか?

     本題に入る前に、「創業融資」のメリットを整理しておきましょう。創業融資(主に日本政策金融公庫の「新創業融資制度」など)は、まさに創業時だけに用意されたボーナスステージのような制度です。
    通常、銀行融資は「過去の決算書(実績)」を見て審査します。しかし、創業融資には以下の特権があります。実績ゼロでも借りられる 過去の実績がないため、「事業計画書(これからの見込み)」を重視して審査してくれます。無担保・無保証で借りられる 原則として担保が不要で、代表者の連帯保証も不要(経営者保証なし)で借りられる枠があります。金利や返済期間が優遇されている。つまり、まだ何者でもない状態でも、リスクを抑えて資金調達できる最強の制度なのです。もし法人成りして再度これが使えるなら、資金調達のチャンスですよね。


    ▼事業の中身が同じなら創業とは見なされない

     法人成りといっても、多くの場合は、個人事業主でやっていた事業をそのまま法人に移す形だと思います。
    飲食店(個人) → 飲食店(法人)建設業(個人) → 建設業(法人)
    このように「事業の実態が同じ(継続している)」場合、銀行や日本政策金融公庫は「創業」とは見なしてくれません。例えば、個人事業で3年実績がある場合、法人を作った日が1日目でも、銀行審査では業歴3年目の企業として扱われます。創業融資の要件(創業して2期以内など)は、個人の期間も含めた通算で見られるため、対象外になってしまうのです。

    ▼【実例】私が今年1月に法人化したケース

     実は、私自身が良い例です。私はコンサルタントとして個人事業主を約8年間営み、今年の1月に法人成り(合同会社化)しました。登記簿上は「設立1年目のピカピカの新設法人」です。では、私が銀行に行って「創業融資を貸してください!」と言ったらどうなるでしょうか?
    答えは「NG(対象外)」です。
    銀行の担当者はこう判断します。「箱は新しくなりましたが、やっていることは8年前からの続きですよね? ならば、創業(1年目)ではなく、業歴9年目の企業として審査しますね」
    創業融資には「創業2期以内」といった要件がありますが、これは「個人の期間も含めた通算」で見られます。私の場合、通算8年を超えているため、創業融資という「初心者向け優遇ゲート」は通れないのです。

    ▼「創業融資NG」は悪いことではない

     「なんだ、借りられないのか」とガッカリする必要はありません。創業融資が使えないということは、裏を返せば「実績のある企業として、通常のプロパー融資や保証協会付き融資の土俵に立てる」ということです。
    創業融資は「実績がないから、事業計画書(未来)を見て貸す」という制度です。一方で、法人成り(実績あり)の場合は、「過去(個人時代)の実績(確定申告書)を見て貸す」ことになります。
    個人時代にしっかりと黒字の実績があれば、創業融資よりも良い金利・条件で借りられる可能性だって十分にあります。逆に、個人時代が赤字続きだった場合は、看板を法人に架け替えても融資は厳しいでしょう(※結局、見られるのは「実態」なのです)。

    ▼例外:創業融資が使える「レアケース」

     一方で、法人成りでも創業融資が使えるケースが一つだけあります。 それは、全く異なる事業を始める場合です。
    デザイナー(個人) → 小売店(法人)
    このように、これまでの経験とは全く関係のないビジネスを法人で立ち上げる場合は、実質的にゼロからのスタートとなるため、創業融資の対象として見てもらえます。
    ただ、ここには大きな落とし穴があります。 それは、「過去(個人時代)の通帳は絶対に見られる」ということです。「新しいビジネスだから、個人の過去は関係ないだろう」 そう思っていたら大間違いです。
    もし個人事業主時代に、
    ずっと赤字が続いていた資金繰りがショート寸前だった税金の滞納があった
    このような状態だと、「法人で新しいことをやります!」と言っても、銀行は「経営者としての資質(管理能力)」を疑います。看板を掛け替えても、中身(経営者)が同じである以上、個人の信用情報は必ず審査に影響するのです。

    ▼「看板」よりも「実態」

     今回のテーマから学べる、資金調達の鉄則があります。 それは、銀行は「法人か個人か」という形式よりも、「実態(儲かっているか、返せるか)」を見ているということです。
    創業融資が使えないから資金調達できないのではありません。個人時代の実績(決算書)が悪いから調達できないのが真実です。
    法人成りを検討する際は、単なる節税メリットだけでなく、「今の個人の決算書で、銀行は評価してくれるか?」「法人化した瞬間に融資を受けられる財務状態か?」という視点を持つことが重要です。

    もし今、
    「法人成りを機に運転資金を確保したい」
    「個人の決算書がちょっと弱いが、どう見せればいいか」
    「創業融資がダメならどの融資を狙うべきか」
    そう悩んでいるなら、ぜひ一度ご相談ください。

    私は店舗資金繰りコンサルタントとして、
    ✔ 銀行が評価する「法人成りのタイミング」
    ✔ 個人から法人へのスムーズな融資引き継ぎ
    ✔ 創業融資以外の調達ルートの選定
    を一緒に考え、実行まで伴走します。形だけの法人化で終わらせず、「資金調達力が上がる法人化」を目指しましょう。

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2025.12.08
店舗経営者が押さえたい経営セーフティ共済の効果

  •  前回は、社長個人の最強の節税策として「小規模企業共済」をご紹介しました。今回はその続編として、法人版の強力な一手、「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」についてお話しします。
     この制度、単なる「連鎖倒産を防ぐ保険」だと思っていませんか?あるいは、「どうせ課税の繰り延べ(先送り)でしょ?」と軽く見ていませんか?しかし、前回のブログでお伝えした通り、資金繰りの世界では「繰延できた税額=金利0%での資金調達」を意味します。また、経営セーフティ共済は、使い方次第で「税金を払わずに手元資金をプールし、いざという時に自由に引き出せる金庫」になるのです。
    今回は、資金繰りコンサルタントの視点で、この制度を「攻めの財務戦略」として活用する方法を解説します。

    ▼「全額損金」が生み出す金利0%の資金調達効果

     「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」は、中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営している制度です。国がバックアップしている制度ですので、民間保険のような倒産リスクを気にせず、安心して資金を預けることができます。本来の役割は、取引先が倒産状態になった際に売掛金の回収が出来なくなり、それに伴う資金繰りの悪化で連鎖倒産するのを防ぐために無利子で回収困難の売掛金債権等の額か、積立総額の10倍のいずれか少ない額までが即時貸付を受けられるというものです。このように取引先が倒産した際に連鎖倒産を防ぐための制度ですが、実務上はそれ以上に節税策+αとして広く利用されています。
     経営セーフティ共済の最大の特徴は、掛金(月額最大20万円、総額800万円まで)を「全額損金(経費)」にできる点です。例えば、利益が出て税金を払えば、そのキャッシュは会社から消えてなくなります。しかし、この共済に加入して800万円を積み立てれば、本来払うはずだった税金(約240万円相当※実効税率30%仮定)を払わずに済み、その分も合わせて800万円全額を「自分の資産」としてキープできます。
     これは財務的に見れば、「国から無利息・無担保で税金分の資金を借りて、運用している」のと同じ効果です。銀行から借りれば金利がかかりますが、この制度を使えば金利0%で資金を確保できる。だからこそ、私はこの「繰延」を極めて合理的な財務戦略だと考えています。
    ※注意点:掛金納付月数が40ヶ月未満で解約すると元本割れしてしまいます。中長期で積み立てる計画が必要です。

     ▼銀行に頼らない「第2の財布」を持つ(貸付制度)

     私がこの制度を推すもう一つの理由、それは小規模企業共済と同様に「契約者貸付制度」があることです。解約返戻金の95%の範囲内で、年利0.9%(※)という超低金利で事業資金を借りることができます(※金融情勢により変動しますが、銀行融資より低い水準であることが多いです)。
     経営セーフティ―共済による積立ては残念ながら利息はつきませんが※、セーフティ共済という「簿外資産」にプールしておけば、節税効果(資金繰り効果)を得つつ、必要な時は、審査なし・最短即日で700万円以上を現金化(借入)できる。つまり、銀行の顔色をうかがわずに使える「流動性の高い第2の財布」を持てることになります。「手元のキャッシュは厚くしたいが、税金で減るのは嫌だ」。そんな経営者のジレンマを解決する、攻守兼備の仕組みなのです。
    ※1年分を前払い(前納)すると、0.09%相当の「前納減額金」というキャッシュバックがあります。少しでもお得にしたい方は年払いがおすすめです。

    ▼「出口」さえ決めておけば怖くない

     もちろん解約して戻ってきたお金(解約手当金)は「収益」として課税対象になります。ここで「結局、税金取られるじゃん」と思うかもしれませんが、心配無用です。
     要は、「戻ってきたお金を使うタイミング(出口)」をコントロールすれば良いのです。大規模な修繕や設備投資が必要な時、赤字が出そうな年の穴埋など。このように、大きな経費が出るタイミングに合わせて解約すれば、税金で相殺され、キャッシュを有効活用できます。つまり、「金利0%で借りていた資金を、会社が一番必要なタイミングで返済(精算)する」というイメージです。

    ▼制度をうまく使ってキャッシュを守り抜け

     経営セーフティ共済はただの保険ではありません。「税金をコストゼロの資金調達に変え、会社の安全性を高める装置」です。小規模企業共済(個人)と、経営セーフティ共済(法人)。この2つをフル活用することで、社長と会社の財務に良い作用が生まれます。

     「ウチの場合はどう活用するのがベスト?」
     「出口戦略まで含めた資金繰りを設計したい」

    そんなお悩みがあれば、ぜひご相談ください。単なる節税ではなく、「未来のお金の戦略」として、最適なプランを一緒に考えましょう。

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2025.12.07
店舗経営者が押さえたい節税の真実と効果的な節税策(小規模企業共済)

  •  店舗経営者に限らず、多くの社長は「節税」に興味があると思います。
    しかし、資金繰りという観点では、節税は扱い方を間違えると逆効果になることが多いです。経費を多くして利益を減らして税金を減らすと、確かに納税額は下がりますが、同時にキャッシュアウトが伴うため、手元資金は確実に減ります。そして、利益を小さく見せすぎると、銀行評価が下がり、いざ店舗展開や改装をしたい時に融資が通りづらくなり、成長が止まってしまいます。
     ただ、繰延型節税(課税を未来に先送りすること)については資金繰り面において悪いことばかりではありません。繰延型とは、費用が発生する時期をずらすことで利益を調整し、税金の支払いを将来へ延期するテクニックです(例:短期前払費用の計上や、必要な消耗品の前倒し購入など)。これにより、例えば100万円の税金を繰り延べできれば、利息0%で100万円借りたのと同じ効果が得られます。利息を払って銀行から借りるより、税金を先送りして資金を残す方が合理的とも言えます。ただ、注意点があります。改めてにはなりますが、利益を削りすぎれば、銀行は「利益の薄い企業」と判断し、融資枠が縮む可能性が高まります。つまり、会社の節税はやりすぎると成長の足を引っ張るということです。
     店舗ビジネスでは目先の節税よりも、中長期の利益の積み上げとキャッシュ創出の方が重要です。一方で、個人(所得税)の節税は積極的に活用すべき領域です。その中でも特に強くおすすめしたい制度が、小規模企業共済です(もちろん私もやっています)。

     ▼小規模企業共済は何がそんなに良いのか?

     小規模企業共済は、個人事業主や小規模事業者の会社役員が利用できる退職金積立制度です。一般的には「節税しながら積立できる制度」と理解されますが、それだけではありません。実はこの制度、節税+老後資産形成+貸付による資金活用まで可能となるまさに複数効果を兼ね備えた"攻守バランスの良い制度"です。
     掛金は全額所得控除。 例えば年間最大84万円積立すると…
    年収300万円なら → 約17万円節税
    年収1,000万円なら → 約36万円節税
    年収2,000万円なら → 約42万円節税
    累進課税のため、所得が高いほど節税メリットは大きくなります。

     節税だけでは終わらない―貸付制度が魅力

     私がこの制度を推すもう一つの理由が、「契約者貸付制度」です。 なんと、積み立てた掛金総額の範囲内(7〜9割)で、年利1.5%という低金利で事業資金を借り入れることができます。
    通常、事業資金が必要になったら、手元の現金を崩すか、銀行から借りる必要があります。もし手元の現金を株式投資で運用していた場合、それを売却(現金化)しなければなりません。これは機会損失です。
     しかし、小規模企業共済があれば、運用中の資産はそのままに、共済から低利で事業資金を調達できます。「年利1.5%の調達コスト」よりも、「手元の資産運用益(例えば年利4〜5%)」の方が高ければ、借りてでも運用ポジションを維持した方が合理的ですよね?
     つまり、「節税で確実に儲けつつ、いざという時は低利で資金を引き出せる(=資金流動性を確保できる)」という点で、これほど使い勝手の良い制度はありません。
     さらに、最後に受け取るときは「退職所得」扱いとなり、課税が大幅に優遇(1/2課税など)されるため、出口戦略も完璧です。 長期目線で考えるなら、活用しない方が損と言えます。

     ▼「守り」だけではお金は増えない

     節税も貯蓄も大事です。しかしそれらは守りの戦略。守りだけでは資産は大きくなりません。大切なのは、
    ①キャッシュを残しながら
    ②資産が増える仕組みを持ち
    ③制度や他人資本を味方につけること
    攻めと守りのバランスが、経営と人生の両方を豊かにします。

    もし今あなたが、
    「店舗の資金繰りを改善したい」
    「攻めの投資をしたいが、融資に不安がある」
    「社長個人の資産形成まで見据えた出口戦略」
    と感じているなら、一度ご相談ください。

    私は店舗資金繰りコンサルタント(兼FP)として、
    ✔ 使える制度の最適設計
    ✔ キャッシュを残す資金繰り戦略
    ✔ 融資・事業投資の判断基準
    ✔ 個人資産まで含めた財務設計
    を一緒に考え、実行まで伴走します。

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2025.12.06
たった10万円をどう増やす?ー「良い借金」と「悪い借金」の思考法

  •  先日、私が所属している趣味(山登り)の会で、リーダーからこんな質問を受けました。

    「グループの余剰金があるんだけど、銀行に置いておくだけではもったいない。資産運用が得意な小林さんならどうやって増やす?」

    その金額は10万円。
    思ったより小さい金額でした(笑)。ただ、お金のコンサルタント(しかも資産運用好き)としては血が騒ぐテーマでした(笑)。

    私はこう答えました。
    「もしこれが『絶対に減らしてはいけないお金』なら、国債や定期預金にしておくのがよいと思います」「でも、もしこれが攻めてもいいお金なら……全く違う手を打ちます!」
    今回は、私が頭の中でシミュレーションした「攻めの運用」と、そこから導き出される「経営者が知っておくべき借入(レバレッジ)の本質」についてお話しします。 

    ▼資産運用好きの思考実験:お金をどこに置き、どう働かせるか?

     正直なところ、10万円のままでは買える投資商品が限定されたり、使える手法が限られたりします。ですので、「もし資金が100万円あって、リスクを取って本格的かつアクティブに運用するなら」という前提に変えて、私の「なかなか本気の手法」をお話しします。
    リスクをとってでも最大効率で資産を増やしたいなら、ただ単に投資信託(オルカン・S&P)や株を買って祈るようなことはしません。

    ①割安・高配当株を狙い、且つ「オプション取引」を駆使する
    最低限考慮すべき指標としては、PER、PBR、配当利率、目標株価。また、単に株を成り行きや指値で買うのではなく、オプション取引(コールやターゲットバイ)を検討します。「欲しい株が安くなるのを待つ間も、プレミアム(収益)を受け取る」という仕組みを作ります。
    *プレミアム:買付け条件に同意しただけで、買う義務を引き受けた報酬として数千円〜数万円もらえる場合があります。

    ②ここぞという場面で買い増す(場合によっては「証券担保ローン」も活用)
    ここがポイントです。多くの人は暴落を恐れ、暴落時に狼狽しますが、高配当株が急落した時は、言わばバーゲンセールです。買付余力があれば買い増し(ナンピン)する。余力がない場合は、「証券担保ローン」で保有株を担保に資金を借り(レバレッジ)、安値で買い増し(ナンピン)をするのも手でしょう。配当利回りがローン金利(例:4%前後)を上回る銘柄であれば、理論上、借金をしても利益(差益)が出ます。これを「イールドギャップを抜く」と言います。これらは少しマニアックな手法ですが、要するに「他人資本(借りたお金)を安全圏で活用して、成長スピードを早める」という考え方です。
    ただ、借りすぎには要注意です!投資とは本来余剰資金で行うべきですので。

    ▼ビジネスにおける「良い借金」と「悪い借金」

     さて、ここからが本題です。なぜこんな投資の話をしたかというと、この思考法は「店舗ビジネスの資金繰り」に通じるものがあるからです。
     日本には「借金=悪」と捉える風潮があります。確かに、浪費や生活費の補填(消費)のための借金は、人生を蝕みます。これは「悪い借金」です。しかし、将来のキャッシュフローを生むための借金は、ビジネスを加速させる「装置」になります。これが「良い借金(レバレッジ)」です。
    ・店舗の改装:居心地を良くして客単価を上げる
    ・広告宣伝:新規顧客を呼び込み売上を作る
    ・人材採用:サービスの質を高めリピートを増やす
    これらに投資するために、手元の現金が貯まるのを待っていては、チャンスを逃してしまいます。私が投資で「金利より配当が高いなら借りる」と判断するのと同様、「金利以上に利益を生む見込みがある」ならば、銀行融資を活用して時間を買うのが経営の正解です。
    ちなみに、ボーナスが出たからといって、住宅ローンの繰り上げ返済する人が居ますが、せっかくの低金利資金を手放すことになるので、個人的には、勿体ないなぁと思ってしまいます...(NISAやiDecoといった非課税枠の制度を使いながら投資に回した方が経済合理性として優れています)

    ▼「守り」だけでは利益・キャッシュは生まれない

     手持ちの現金を守ることだけに必死になり、投資を恐れていませんか?それでは、資産も店舗ビジネスも成長しません。重要なのは、借金を避けることではなく、「リスクをコントロール可能な範囲に収めながら、他人の力(融資)を使って大きく勝つこと」です。
     もし今、あなたが、
    「店舗の資金繰りを改善したい」
    「攻めの投資をしたいが、融資に課題がありそう」
    「会社のお金も個人資産も、もっと効率よく増やしたい」
    そう思っているなら、ぜひ一度ご相談ください。

    私は店舗資金繰りコンサルタント(兼FP)として、
    ✔ 銀行融資の勝ち取り方(攻めの資金調達)
    ✔ キャッシュアウトを防ぐ鉄壁の資金繰り(守りの管理)
    ✔ 社長個人の資産形成まで見据えた出口戦略
    を一緒に考え、実行まで伴走します。
    「お金に働いてもらう仕組み」を、あなたのビジネスにも実装しましょう。

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2025.11.08
「財務」とは未来志向のお金の戦略

  •  経営者の皆さんは「財務」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?おそらく多くの方が「帳簿や決算、税金の話」、そして「税理士に任せるもの」と思われるでしょう。
    しかし、私がコンサルティングで扱っている「財務」は、そのような“過去のお金”ではありません。私が扱うのは、未来のお金の戦略です。

    ▼多くの税理士が扱うのは「過去のお金」の話

     多くの税理士が扱う領域は、具体的に言うと、主に「会計」と「税務」です。会計とは、過去に起きたお金の動きを記録・整理し財務諸表を作成すること、売上や仕入、入金や支払いといった“終わった取引”を正確にまとめる作業です。一方、税務は、その会計データをもとに税金を計算し、申告書を作成すること。つまり、税務も「過去に発生したお金」に基づいて処理を行う仕事です。
    このように、会計も税務も、どちらも経営に欠かせない重要な仕事ですが、“過去のお金の整理”に過ぎません。また、過去の情報は、未来にうまく活かさなければ、あまり価値のないものになってしまいます。最も重要なのは、過去を整理して終わりにせず、未来にどう活かすかという視点なのです。

    ▼「財務」とは「未来のお金」の話
     
     一方、「財務」という領域は、未来に目が向いています。たとえば、次のような問いを経営者と一緒に考えます。
    ・来月・今期中に現金はいくら足りなくなるのか?
    ・そのために、どれほどの対策・調達が必要なのか?
    ・投資や設備更新のタイミングはいつが最適か?
    これらはすべて、未来のお金をどう動かすかというテーマです。過去の数字を眺めるのではなく、これからのお金の流れ(キャッシュフロー)を設計・検討する。それこそが、「財務」の本質です。経営とは、未来に向かって意思決定を繰り返す行為です。その意思決定を支えるのが、「未来のお金の戦略=財務」なのです。

    ▼経営者に必要なのは“未来思考の財務”
     
     多くの経営者が「数字は苦手」と言います。しかし、数字そのものではなく、数字の未来へのつながりを理解することが大切です。過去の決算書を見て安心しても、来月の資金がショートすれば会社は続きません。逆に、未来の資金繰りを把握していれば、多少の赤字でも倒産は防げます。財務とは、「未来の安心をつくるための思考法」であり、 経営の羅針盤と言っても過言ではありません。

    ▼財務コンサルタントとしての役割・使命
     
     私が支援上で大事にしていることは、数字を並べることではなく、未来を設計することです。経営者が“これからの一手”を打てるように、財務・キャッシュフローの観点から伴走する── それが、財務コンサルタントとしての役割・使命です。未来を良くするためにお金をどう動かすか。その設計こそが財務であり、経営そのものです。
    私は、「未来×お金=財務」というテーマで、経営者の右腕として共に考え、共に歩むコンサルティングを行っています。
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2025.11.07
顧客の声を活用した「売れる仕組み」作り

  • ブログ記事第一号です。
    財務・資金繰り系の記事ではありませんが、フードビジネスにも資するネタ、某大手カレーチェーンのネタですので、投稿させていただきます。最後まで読んでいただけますと幸いです。

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     一生懸命営業しているのに、なかなか売れない。広告費をかけても、思うように集客できない…そのような悩みを抱えていませんか。もし、あなたのビジネスがこのような状況なら、「セールス」に終始することをやめてみませんか?

    そもそも、売り手が「売り込もう」とすればするほど、かえってお客様は買わなくなります。例えば、洋服屋で店員に積極的に商品を勧められると、逆に買いたくなくなるものです。一方、「口コミ」を活用すれば、お客様が自ら他の人に商品やサービスの魅力を伝えてくれます。そのため、売り手の「売りたい」という意図が前面に出ずに、自然な形で価値が伝わるのです。さらに、あなたの会社に代わってお客様が営業員となり、その魅力を発信してくれます。だからこそ、リソースの限られた中小企業こそ、セールスに頼らず、顧客の声を活用した「売れる仕組み」を作るべきなのです。

    ▼口コミは自然に売れる最強の仕組み

     メディア露出は一時的な効果にとどまりますが、口コミは波のように拡散していきます。
    例えば、たった1人が2人に伝えるだけでも、10回繰り返せば2の10乗で約1,000人、20回繰り返せば100万人に届く計算です。 SNSでの共有が加われば、さらに爆発的な波及効果が期待できます。良い口コミが増えるとお客様が増え、話題となってメディアやSNSに取り上げられやすくなり、その結果さらに新たな顧客が集まる――まさに好循環(スパイラル)が生まれます。この流れを作ることで、積極的に宣伝しなくても自然に集客できる仕組みが整います。

    ▼実践例:広告費ゼロで集客する仕組み

     私は、経営コンサルティング業の傍ら、都内で無人の貸し会議室を数軒展開しており、広告宣伝費ゼロ・看板等一切無しで、連日予約を獲得しています。その秘訣の一つは、ご利用後お客様から頂く「レビュー(口コミ)」です。

    実際、私が運営するスペースでは、延べ千件超の良好なレビュー(平均4.8/5点満点)を獲得しています。このようなレビューの蓄積は、スペース予約サイトの検索順位にも良い影響を与え、自然と集客につながっています。もはや「営業資産」と言っても過言ではありません。私は、ご利用後全てのお客様にお礼とレビュー協力のお願いのメッセージをお送りしています。実は、ご感想の他、不満や要望をメッセージ返答いただくことで、レビューに記載されにくくなる利点もあるのです。こういった仕掛けを複数設けることで、全利用者の約4割の方にレビュー投稿いただいています。

    ▼対企業でも「口コミ・紹介」は強力な武器

     一方で、「ウチはBtoBだから口コミ活用は難しい」と思われる方もいるかもしれません。しかし、BtoBでも「口コミ・紹介」は強力な武器になりえます。例えば、導入事例を記事化したものや、顧客の声をホームページ等で掲載することが有効です。例えば、ITサービスを導入した企業の成功事例を具体的に紹介すれば、同じ業界の企業が「ウチも試してみよう」と思うきっかけになるのです。

    ▼顧客の声を徹底活用した事例

     さらに、積極的に顧客の声を活かして、サービス改善や経営に活かすこともできます。
    例として、国内最大のカレーチェーン「CoCo壱番屋」が挙げられます。創業者の宗次徳二氏は、徹底的に顧客の声に耳を傾け、改善に取り入れていました。具体的には、毎朝アンケート葉書に目を通し、その内容を基に店舗へ指示。そして、月毎に纏めたヒント集を全店舗に配布するなどです。経営者自らが顧客の声に真摯に向き合い、改善を積み重ねる姿勢は、全ての経営者が見習うべきポイントです。このように顧客の声を販売面のみならず商品開発やサービス改善に活用することで、競争力を高めることができます。その結果、セールスに頼らず「売れる仕組み」を作ることに役立つのです。

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