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多店舗経営者が今すぐ始めるべき「店舗別会計」導入ガイド

多店舗経営者が今すぐ始めるべき「店舗別会計」導入ガイド

2026年06月04日 10:32

「うちの会社、全体では黒字なんですよ。でも、なぜか手元にお金が残らないんです」

そんな相談をよく受けます。詳しく話を伺うと、ほぼ共通の問題点に突き当たります。
それは、どの店舗が稼いでいて、どの店舗が足を引っ張っているか—それが見えていないということです。
多店舗展開する経営者にとって「全体の業績」は見えていても、「店舗ごとの業績」が見えていない状態は、いわば目隠しをして運転しているようなもの。投資すべき店に資金を回せず、撤退すべき店を温存し続け、気づいた時にはキャッシュが底を突く…そんな悲劇は珍しくありません。

今回は、店舗資金繰りコンサルタントの視点から、多店舗経営の明暗を分ける「店舗別会計」の本質と導入ステップを解説します。

▼店舗別会計とは何か?—「縦割り」で数字を見る

通常の会計(財務会計)は、会社全体の数字を集計して決算書を作ることが目的です 。これに対し、「店舗別会計」(部門別会計)は、各店舗を一つの独立した事業単位として、売上・費用・利益を切り分けて集計する手法です 。

イメージとしてはこうです。
店:売上300万円、変動費150万円、固定費100万円 → 利益50万円
B店:売上250万円、変動費160万円、固定費120万円 → 利益▲30万円(赤字)
C店:売上200万円、変動費100万円、固定費80万円 → 利益20万円

合計すれば全体で「40万円の黒字」ですが、実態はB店が毎月30万円ずつ会社のキャッシュを侵食しています。これを「どんぶり勘定」で済ませてしまうことが、多店舗経営における最大の罠なのです。

▼なぜ今、店舗別会計が必要なのか

①「全体黒字」の罠

5店舗展開していて2店舗が絶好調なら、残り3店舗が赤字でも会社全体は黒字に見えます。しかし、その「隠れ赤字店舗」が毎月コツコツとキャッシュを削り続けます。財務コンサルの現場では、「全体黒字なのに資金繰りが苦しい」という相談の多くに、こうした赤字店舗の放置が絡んでいます。

②撤退判断の遅れが致命傷になる

数字が見えていないと、撤退判断は経営者の「感覚」に頼らざるを得ません。しかし、感覚は往々にして遅いものです。撤退が1年遅れれば、数百万円の損失を垂れ流すだけでなく、優良店の成長資金まで食いつぶす「赤字連鎖」を招きます。

③多店舗化で経営者の「目」が届かなくなる

1店舗なら現場の肌感覚で把握できますが、3店舗、5店舗と増えれば物理的に不可能です。店舗別会計は、経営者の目が届かなくなった先の「第二の目」として機能します。

▼最大の難関—「共通費」をどう配賦するか

店舗別会計で最も悩ましいのが、本社家賃や事務人件費、広告宣伝費などの「共通費」の扱いです。これを各店舗に割り振る(配賦する)主な方法は3つあります。


  • 粗利比率配賦:各店の粗利の比率に応じて割り当てる。最もフェアで説明しやすい手法です。

  • 社員比率配賦:従業員数に比例して配賦。採用費や労務管理コストの按分に向いています。

  • 床面積比率配賦:面積に比例して配賦。光熱費や店舗保険料などに適しています。


実務では、まず「全費用を粗利比率で一括配賦」することからスタートし、徐々に精緻化していく段階的なアプローチを推奨します。

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共通費配賦3方法の比較


▼店舗別会計の導入ステップ

①店舗コードの設定

会計ソフトの「部門」機能を使い、各店舗に固有のコードを割り当てます。

②直接費の紐付け

仕入や店舗家賃、現場人件費を仕訳の段階で店舗コードに紐付けます。

③月次損益レポートの作成

月に一度、店舗ごとのP/Lを出力し、限界利益や営業利益をチェックします。

④比較と分析

全店舗の数字を横並びで比較し、異常値がないか、予算と乖離していないかを検証します。


▼不採算店舗の撤退判断—「限界利益」がポイント

店舗別会計を導入して赤字店舗が見つかった際、即閉店が正解とは限りません。判断の核心は「限界利益(貢献利益)がプラスかどうか」です。


限界利益 = 売上 - 変動費(食材費・パート人件費など)

限界利益がプラスであれば、その店舗は「本社の固定費を一部負担してくれている」ことになります。安易に閉店すると、その負担分が他の店舗に重くのしかかり、かえって会社全体の採算が悪化するケースがあるのです。
閉店を検討すべきは、「限界利益がマイナス(売れば売るほど赤字)」、あるいは「将来的に改善の見込みがなく、他の店舗に投資した方が利益が大きい」場合です。さらに、原状回復費用やリースの違約金といった「出口コスト」を含めたシミュレーションが不可欠です。

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不採算店舗の撤退判断フローチャート

▼銀行・融資への活用—数字が「信頼」に変わる

店舗別会計の導入は、融資戦略としても極めて有効です。
銀行員は「会社全体の業績」だけでなく、「不採算店舗にどんな対策を打っているか」を鋭く見ています。店舗別の損益データに基づき、「B店は限界利益はプラスなので存続させ、C店は損切り基準に達したため撤退する」といった論理的な説明ができる経営者は、銀行からの信頼度が格段に上がります。
これは、単なる数字の整理ではなく、銀行を味方につけるための「最強の武器(簿外資産)」を磨く行為に他なりません。

▼まとめ:具体的な悩みこそが解決への近道

私が多くの経営者と向き合っていて感じるのは、店舗別会計を導入した経営者は、悩みが「具体的」になるということです。「なんとなくお金がない」という抽象的な悩みは解決しにくいですが、「B店の食材原価率が2%上がった」という具体的な課題は、即座に手を打つことができます。

「全体では黒字なのに、なぜか手元にお金が残らない」
もしそう感じているなら、まずは自社の損益を店舗ごとに書き出すことから始めてみましょう。
「自社の配賦基準をどう設定すべきか?」「赤字店舗の撤退シミュレーションをしたい」といったお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。店舗別会計の導入から不採算店舗の改善まで、あなたの経営の羅針盤を共に設計します。
「うちの店でも導入できるかな?」と思われた方は、まずは初回無料の個別相談から、現状の「健康診断」をしてみませんか?