
今こそ経営者保証を外せる好機│経営者保証を外す3条件とは?
2026年06月03日 10:56
「もし会社が潰れたら、自宅も貯金もすべて失ってしまう…」
経営者なら、心のどこかでこの恐怖を抱えているのではないでしょうか。
銀行からお金を借りる際、社長個人が連帯保証人になる。これまでの日本では、年商10億円未満の小さな会社にとって、それは当たり前でした。しかし今、その当たり前が崩れつつあります。
今回は、財務コンサルタントの視点から、経営者保証という重い足かせを取るための前提知識を解説します。
▼2022年、国が本気で動き出した「経営者保証改革」
実は、経営者保証を外すための「ガイドライン」自体は10年以上前から存在していました。しかし、現場の銀行員にとっては「保証を外す=リスク」でしかないため、積極的な提案はほとんど行われてこなかったのが実態です。
そんな停滞を打ち破ったのが、2022年の「経営者保証改革プログラム」です。金融庁・中小企業庁・財務省が一体となり、金融機関に対して強い指導を始めました。
「なぜ保証が必要なのか」を経営者に説明する義務
「保証を外す選択肢」を提示する義務
さらに2024年には新たな保証制度が相次いで導入され、2026年には社長個人の保証に頼らず、企業の「将来の収益力」などを担保にする「企業価値担保権制度」も導入される予定です。まさに今、「保証を外せる時代」がすぐそこまで来ているのです。
▼経営者保証を外す3条件
店舗経営者の多くは、「うちは数店舗の個人店だから相手にされないだろう」と最初から諦めています。しかし、保証を外せるかどうかは、会社の規模ではなく、経営の健全な姿勢で決まります。
具体的には、以下の3条件を満たしていればチャンスは十分にあります。
公私の分離:社長個人の財布と会社のレジが明確に分かれているか?
財務の健全性:黒字経営で、ある程度の自己資本(内部留保)があるか?
情報の開示:月次試算表などで、定期的に銀行へ状況報告をしているか?
特に、私が日頃から提唱している「月次試算表のスピード作成」と「銀行への定期報告」は、保証解除に向けた最強の武器になります。銀行員に「この社長なら、何かあっても隠さず報告してくれる」という信頼を勝ち取ることが第一歩と言えます。
▼保証が外れない典型例
一方で、以下のような状態では、保証解除は極めて難しくなります。
・会社と個人のお金が混在している(公私混同)
・役員貸付金が多額に残っている
・月次試算表が数ヶ月遅れ、実態が把握できていない
・銀行への報告が年1回の決算時のみ
このような状態では、銀行は「リスクが高い」と判断せざるを得ません。裏を返せば、これらを一つずつ改善していくこと自体が、保証解除へのプロセスなのです。
▼保証を外すことは攻めの財務戦略
「保証を外してほしい」と銀行に伝えるのは、単なるワガママではありません。それは、店舗の持続可能性を高める立派な経営改善です。
保証が外れることで、経営にはこれだけのメリットが生まれます。
次世代へのスムーズな事業承継:子供や従業員に店を継がせたいとき、多額の個人保証がネックになって断念するケースは非常に多いです。保証がなければ、後継者の心理的ハードルは一気に下がります。
経営者のメンタルヘルス向上:「家族を路頭に迷わせるかもしれない」という不安から解放されます。
銀行との対等な関係性:保証に頼らない融資を引き出すことは、銀行から「一人前の企業」として認められた証拠です。
▼注意!やってはいけない交渉法
気合だけで銀行に突っ込んでも返り討ちにあいます。支援の現場でよく見る「落とし穴」には注意してください。
「いきなり交渉」はNG:十分な準備もなく「制度があるから外して」と突然言い出すのはリスクが高いです。まずは信頼の「地ならし」から始めましょう。
説得しようとしない:銀行員を論破しても意味がありません。「この会社なら保証がなくても大丈夫だ」と感じてもらう資料(事業計画書など)を整えることが先決です。
▼まとめ:専門家を「翻訳者」として活用せよ
「保証を外したいけれど、銀行に嫌われそうで怖い…」 そう思うなら、私どものような専門家を「橋渡し役」として使ってください。
私どもは、銀行が安心する「共通言語」であなたの会社の強みを翻訳し、保証解除に向けたシナリオを一緒に描きます。保証解除の支援は、単なる交渉ではなく、あなたの会社が10年後も生き残る強い組織に進化するための入り口です。
「一生、保証人の重圧を背負い続ける」のか、「制度を賢く使い、自由な経営を手に入れる」のか。この判断の差が、数年後のB/S(貸借対照表)の厚みと、あなた自身の人生の幸福度を決定づけます。
まずは、あなたの店の「健康状態」をチェックすることから始めましょう。