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金融投資は個人ですべきか、法人ですべきか?

金融投資は個人ですべきか、法人ですべきか?

2026年06月15日 17:41

「利益が出たから役員報酬を上げて、新NISAで運用しよう。」

もしそう考えているなら、少し立ち止まってみてください。至極真っ当な話に聞こえますが、実はその判断は、見方を変えると、経済合理的な判断とは言えない場合もあります。

私は、若い頃から投資に取組み、過去相当傷つきながらも知見を蓄え、今では、生活を賄えるほどの資産運用益を得ています。昨年法人化しましたが、今、法人でも資産運用を行おうとしています。個人で投資・運用する場合、「運用益に一律20%課税の分離課税」や「非課税の新NISA」という最強の出口があるのに、なぜ、わざわざ「法人」という器を使うのか。今回は、経営者が知っておくべき「入口と出口」の投資戦略について解説していきます。

▼「運用益の税率(出口)」なら個人が圧倒的に有利

まず結論からお伝えすると、運用益(増えた利益)にかかる税金だけを比べれば、間違いなく個人で投資すべきです。


  • 個人:一律約20%(申告分離課税)。新NISA/iDeCoなら0%(非課税)。

  • 法人:法人税率が適用されるため、実効税率で約30%。

これだけを見れば、法人で投資するのは損に見えます。しかし、経営者が本当に目を向けるべきは、運用益(出口)の税率ではなく、投資に回す前のお金(入口)にかかるコストです。

▼「投資に回せる元手(入口)」の圧倒的な差

個人の所得税は累進課税です。さらにひとり社長の場合、役員報酬を上げれば会社負担分を含めた実質約30%もの社会保険料がセットでついてきます。
実例で考えてみましょう。例えば、課税所得が900万円を超えている人が、100万円を投資に回したいがために役員報酬を上げた場合、税(43%)と社保(実質約30%)で「実質負担率」は70%を超えてきます。


  • 個人の場合:100万円の利益から投資に回せる種銭はわずか30万円。

  • 法人の場合:法人税30%を払っても手元に70万円が残ります。


「30万円を無税(NISA)で運用する」か、「70万円を課税(法人)で運用する」か。運用益に30%課税されたとしても、スタート時点の種銭が2倍以上違うため、長期的な複利のスピードには決定的な差が生まれるのです。

▼法人の赤字は「出口」を無税にする武器

さらに法人の強みは、この約30%の税率さえもコントロールできる点にあります。店舗経営では、大規模修繕などでどうしても赤字となる年があります。通常、赤字は単なる損失ですが、法人で資産運用を行っていれば、この赤字を「最強の非課税枠」に変えることができます。


  • 損益通算:本業の赤字と投資で出た利益(含み益の利確)を相殺する。

これにより、本来なら法人税がかかる投資利益を、実質ゼロでキャッシュ化できます。さらに法人は赤字を10年間繰り越せるため、この無税で利確できるチャンスをじっくりと待つ戦略が取れるのです。

▼ハイブリッドな使い分けが正解

本ブログのタイトルである「金融投資は個人ですべきか、法人ですべきか?」に対する結論はシンプルです。


  1. 個人(NISA・iDeCo):「出口」が最強。まずはこの非課税枠の範囲内で着実に資産を築くのが鉄則です。

  2. 法人:「入口」が最強。NISA枠を超えた資金や、役員報酬を上げると社保・税金で大損するフェーズ(所得700万〜900万円超)において、分厚い種銭を維持したまま複利を最大化させるための器。


無理に役員報酬を上げて「実質負担率70%」のコストを支払うのは、本末転倒かもしれません。

▼重要な前提:最優先は常に「本業への再投資」

ただし、法人で投資を行うのは、あくまで余剰資金がある場合に限ります。本来、資金に余裕があるなら、最優先すべきは金融投資ではなく本業への再投資です。また、収益基盤が整い、将来の不確実性に備えてキャッシュを厚くしておきたい場合には、金融投資による第2の財布が有効な選択肢となります。

「うちの法人で投資を始めるには、何から手をつけるべきか?」
「役員報酬と法人留保、どちらが有利かシミュレーションしたい」
そう感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。資金繰りと投資を一体で設計することで、経営の選択肢は大きく広がります。
※具体的な税務判断については、顧問税理士等の専門家への確認が必要です。